CASES

事例紹介

開業から10年で顧問先500件を達成した
税理士法人イデアコンサルティングの軌跡

税理士

税理士法人イデアコンサルティング 代表社員 税理士

伊東 大介(いとう だいすけ)氏

税理士業界の中で「若くして成功した会計事務所・税理士」として、必ずと言って良いほど名前が挙がる、
税理士法人イデアコンサルティングの代表社員・税理士の伊東大介氏。開業わずか10年で顧問先500件を達成した手法は、
業界から注目を集め、セミナー講師やノウハウの製品化などの依頼がひっきりなしに来るほど。
伊東氏が歩んできた10年は、どのようなものだったのか、当時を思い出しながら、
良かったこと悪かったことも含め、語っていただきました。

「20代で起業したい!」という夢を実現し、独立開業
省エネスタートで開業3年目に税理士法人化を実現

税理士法人イデアコンサルティング 代表社員・税理士 伊東大介氏

税理士法人イデアコンサルティング
代表社員・税理士 伊東大介氏

中央大学法学部法律学科卒業後、国税専門官28期生として東京国税局に勤務。その後、都内の税務署、税理士法人勤務を経て、2005年新宿にて開業。2008年税理士法人イデアコンサルティングを設立。毎年売上35%増の成長を遂げ、2014年には214件超の新規顧客を獲得。開業10年で売上1億円を達成した手法が、業界から注目され、セミナー講師や団体の理事就任依頼多数。

税理士を目指そうと思ったきっかけを教えてください

きっかけは高校生の頃です。当時は、クラス名簿に親の職業が載っていて、親が「会社役員」という友達が何人かいました。「会社役員」と聞くと社員が何人もいるような大企業のイメージがあったのですが、友達から話を聞くとみんな5?6人規模の中小企業経営者でした。それでも友達が金回りがよく、自由に伸び伸び育っている様子を見て、「いつか自分で会社をやりたいな……」と思ったのが最初です。

その後「資格を取得し、独立したい」という考えから、大学では法学部に進学しました。国税局を受けて公務員となり、実際に税に携わるようになり、「税理士っていいな」と改めて思うようになりました。そして、会計事務所、会計コンサル会社を経て2005年10月、20代ギリギリで独立開業しました。……と言っても、そんな大々的なものではなく非常に省エネで、自宅を事務所にして開業するスモールスタートでした。

開業して10年、いちばん変化があったのはどんなことですか?

外部環境の変化が大きいです。
当時は50名体制であれば大きい事務所という認識でしたが、今では100名を超える事務所も少なくなく、大規模化が進んでいます。私は開業した当時は、20代の税理士はほとんどいなく、業界全体の2%弱でした。しかし、今では20代で独立開業する人も少なくありません。
20代の税理士が増加した要因は、インターネットの普及が活動に大きな影響を与えていると思います。広告の自由化もあり、自分で営業することはもちろん、他の事務所がどのような動きをして、どこまで大きくできているかについてもWebから調べられます。

10年間を振り返って、成功した要因として、どのようなものがありますか?

大きく分けて3つあります。
1. 時代背景
私の場合は開業した時期がよかったと思います。
当時は、顧問先1件あたり年末調整を入れると70万円/年の売上でした。会計業界の先輩に「まずは(顧問先を)10件やりなさい」とアドバイスをいただき、無理のないペースで開業してから2年間は一人でやっていました。
3?4年前(2000年前後)だと1件20万円/年だったので、これでは年間30件やってもなかなか厳しい……。
この頃だったら、税理士では開業していなかったと思います。
市場の状況含め、自分のやりたい仕事が時代にマッチしているかどうかの見極めが重要ですね。
2. インターネット
妻がSE(システム・エンジニア)だったこともあり、かんたんなホームページを作ってくれたので、開業1年目からWebを活用することができました。まだインターネットが普及し始めた頃だったので先行者利益もあり、特にSEO対策を意識していなくても、「新宿×税理士」の検索結果で事務所のWebが常に上位に表示されていて、Web経由で2年間で40件の新規獲得ができました。スタート時のコンセプトが省エネだったので、当時は「生活できればいいかな」と、それで十分でした。今思うと、もっと上を目指せたかな、と思いますが……(笑)
3. 税理士法人化
開業して2年は一人で40件/年のペースでやっていて、仕事もプライベートもちょうどよい感じでした。しかし2年やってきたことを振り返ってみた時に、やはり生活ができればいい、というレベルでなく、もっと事務所を大きくしたいと考えるようになりました。
当時、加盟していた団体でも税理士法人化する事務所が増えてきており、職員の採用を考えた時、個人事務所よりは税理士法人の方が有利だろう、と思い、3年目に税理士法人化しました。
会計事務所は親や奥さんなど家族がパートナー税理士、というケースが多いですが、イデアコンサルティングのパートナー税理士は家族関係の方ではありません。「家業」ではなく「事業」「会社」なんだ、という意識改革でやっています。

開業9年目に退職者続出……
「経営理念」と「採用」の大事さに気付き、事務所拡大へ

逆にこの10年間で「これをやっておけばよかった…」ということはありますか?

ひとつは投資も含め、「リスクをとる」ことです。
無理のないよう省エネでやってきていて、「これくらいできれば十分」と、目標数字も低かったです。はじめは極力お金をかけないようにしていて、いろいろお世話になった会計業界の先輩には「事務所を借りなさい」と言われたけれど、借りて失敗した人もたくさん見てきたので、投資もせず、リスクもとらず自宅開業を選択しました。
今のスタートアップ企業を見ていると、びっくりするくらい投資をしています。無借金で大きくなっている所は少ないです。周りのお客様で、このように投資して成功しているところのやり方を、積極的に取り入れていこうと思います。開業時代にもう少しリスクをとっていれば、もう少し早い成長スピードが見込めたかもしれません。

イデアコンサルティングの「クレド」

イデアコンサルティングの「クレド」。入社時に必ず配られる。一緒に働くうえで大切な考え方をこのシートにまとめている。

もうひとつは「経営理念」です。事務所の存在意義など、考え始めるのが遅かったかな、と感じています……。
開業して6年目に10名体制になって、8年目まで退職者が一人もいませんでした。当時、採用はうまく行っていて、順調に人が増え、営業もうまく行き、事務所がいい形で回り始めたと自分では思っていました。
ある日、初めて「退職したい」という人が出てきました。きっかけは結婚だったのですが、「(結婚しなくても)いつか辞めようと思っていた」と聞き、「人は辞めるもの」ということを改めて認識したのです。
ちょうどその頃、大手事務所が好条件で社員の大量採用を始めたり、事業会社が税理士の資格者を採用し始めたりして、採用がしづらくなってきました。そして、景気が良くなるにつれ、お客様の業務レベルや要望も高くなり、仕事が増えて社員が大変な状況になってきました。

9年目にはアルバイトを含め立て続けに9名の退職者が出ました。
人が辞めても仕事量は変わらないので、在籍している人に負担がかかり、ますます辛くなり今いる人も辞めたくなる……という悪循環に陥ってしまいました。
今思えば、営業に力を入れていて、お客様を優先し過ぎてしまったかな、と……。

その後、これではいけない、と「採用」に時間とお金をかけることにしました。この時に「クレド」も作りました。当時いた事務所では人が入りきれないため、10年目に、同じ恵比寿でより広い場所に移転しました。
自分が営業ばかりやっていて、内部にちゃんと目を配れていなかった、という反省があるので今回の移転ではオフィススペースも広くし、「みんなを大切にしている」ということを社員に伝えています。結果、この年は10名採用できました。営業も大事ですが、採用も大事です。

毎年顧問先を増やすために、
会計事務所のマーケティングに必要なものとは?

イデアコンサルティングでは、毎年順調に新規顧問を獲得し、年々顧問先数が増えています。どんなマーケティングで、こうした成果につなげられたのですか?

イデアコンサルティングの根本は「いい人が多い」こと、その人たちがたくさんのお客様を獲得してくれています。この強みを生かし、私たちは10年かけて「全員営業スタイルの確立」、「パートナーシップの構築」に取り組んできました。
他の事務所と比べても、当事務所はいろいろなマーケティング施策を試している方だと思います。事務所の方針やカラーによって、施策の合う合わないがあるので、何がはまるのか、やっている本人が心地よいかどうかで判断するとよいと思います。
当事務所の場合、やってみて成果につながったのは下記の施策です。
1. Web
開業当初から、事務所のホームページは必要です。業務別にページを立ち上げて、リスティング広告やメルマガのリンク先などで誘導し、お問い合わせにつなげています。
お客様自身でも情報収集して、他の事務所と見比べているので、お客様から選ばれるために、事務所づくりもしています。2012年ごろは40%がWeb経由のお客様でした。
ただ、Web経由のお客様はしがらみがないので解約リスクもあります。投資する広告金額を決めたら、顧客紹介にも注力しています。
2. BNI(アメリカ発祥の世界最大規模の朝会)
もっとも効果のあった施策のひとつです。異業種交流会は、話しかけてもらえないことが多いので、積極的になれないと難しい部分があります。朝会だと、会に参加してもらいたい意識があるので、みんな積極的に話してくれます。また朝から活動する人は前向きな方が多く、関係性ができてくると参加率が高くなります。
2014年にはBNIからの紹介だけで20件の新規獲得ができました。参加者の誰かに関係があるので、仕事にも緊張感があります。自分の参加するBNIが地域の中で最大規模にできたのも大きな成果要因です。
3. 紹介
開業間もないうちは、紹介会社の活用は有効です。登録自体は無料なのでやっておくとよいでしょう。顧問先になってもらえれば、そこからさらに紹介してもらえます。他社と比較されるので、自分の事務所がどう見られているかがわかります。
ただ成約時にコストがかかるのと、時期やお客様の業種など、こちらでコントロールできないデメリットもあります。また、案件が紹介されるので、新しい手法を考えなくなってしまい、思考停止に陥りがちです。
他の施策と合わせての活用がよいでしょう。

逆に当事務所では、あまり合わなかった施策は「テレアポ」でした。一度、顧問先の所に電話してしまったことがあり、お客様から「先生、そんなことまでしているの?」と言われてしまいまして……。評判と新規と、どちらをとるか考えて、テレアポでの施策は止めました。

伊東先生が、会計事務所がマーケティングを行う上で、いちばん重要だと思うのは何ですか?

いちばん重要なことは「顧客を獲得する覚悟」です。
マーケティング施策を行い、それが当たるとお客様は増えます。そうなった時に、ちゃんと告知している通りのサービスを納品していかなければ、お客様からの信用を失い、会社が潰れてしまいます。お客様が増えすぎて、サービスの質が低下し、既存のお客様からの反感を買うようなことがあってはいけません。また、どこまでお客様を増やしたいか、という目標設定も大事です。
私の場合、新宿区で開業した時、近くに先輩の税理士や知り合いの方がたくさんいました。いろいろ相談できて、よい部分もありましたが、新規で営業をかけようとした時、新宿近辺でDMを配るなど、先輩方のお客様にアプローチするのは、不義理になるのでやりたくないな、と感じました。それでしがらみのない、恵比寿に引越しをして、そこからDMやテレアポをはじめました。
「お客様を増やす」と決めれば、あとは手法の問題です。どこまでやるか、という覚悟が大切だと思います。

常に新しい情報、考えを提案し、伴走してきてくれたACCS

伊東先生とACCSは2008年以来、10年以上お付き合いされています。これまでを振り返って、いかがですか。

ACCSさんとは、税理士法人化した後からずっとお付き合いを続けています。
会計事務所のフランチャイズシステム『Q-TAX』の前身サービスに加盟していて、担当のスーパーバイザーの方にマーケティングの手法や、必要なツールの作り方など教えていただきました。

当事務所がいろいろな施策を試したのも、その影響です。提案してもらった施策は一通りなんでも試してみました。その中で成果が出たものを今も引き続き行っています。今、事務所で配信しているメルマガもACCSさんのメールアプローチシステム『MiG-p(ミグプレミアム)』を活用しています。税務など顧問先向けのコンテンツがすでに用意されているので、自分で記事を書かずに必要な情報を配信できるので助かっています。誰でも使用できるので、属人化せず運用できるのがありがたいです。事務所の「全員営業」の方針とも合っています。

現在、事務所で使用している各種ツール類も、ACCSさんからいただいたものです。どんなものをどのように作って、どのタイミングで使えばよいか、とアドバイスいただきました。そこから自分たち流にアレンジして横展開し、今ではかなりバリエーションも増えました。

イデアコンサルティング ツール

朝会(BNI)への参加を促すハガキDMや顧問先に使用する10年計画表、季節の変わり目に送るメッセージカードなどの様々なツール群は、
ACCSから提供されたものをイデアコンサルティング流にアレンジしたもの。これらは定着し、今もバージョンアップしながら活用し続けている。

事務所経営面でも、多方面からサポートしていただきました。事務所づくりの施策の一環で、縦軸は組織、横軸は委員会活動で事務所内の業務を運営しています。委員会活動のひとつに「拡大委員会」というものがありまして、この会議にACCSさんにも参加していただき、どんなことに取り組んで事務所を大きくしていけばよいか、一緒に考えてもらいました。目的別会議を設定し、事務所内のコミュニケーションを円滑にするというのも一緒に行った打ち合わせの中で出てきたものです。

事務所が恵比寿で物理的な距離が近い、ということもありますが、この10年間、ACCSさんは私たちの近いところにいて、ずっとそばにいてくれました。アメリカの会計事務所の動向だったり、新しいトレンドだったり、常に新しい情報を私たちに与えてくれました。これからもお互いに刺激し合い、共に業界の先頭を走っていけたら、と思います。

株式会社アックスコンサルティング運営メディア