税理士事務所を辞めたい。税理士が引退を考えた時の対処法と選択肢

税理士事務所辞めたいときの選択肢とメリット

税理士はその資格取得の難しさから安定した職業と言われ、目指す人も多くいます。その反面、辞めたいと思う人も多くいます。
近年では税理士のイメージにも変化が見られ、資格取得や将来的な独立開業などについて危惧する声が聞こえる時もあります。

それは個人事務所が多く平均年齢が上がっていること、顧客となる中小企業数の減少によって業界内の競争が激しくなってきていることなどが要因でしょう。

高齢化・後継者不足から事務所の将来を不安に思い、辞めたいとを考え始める人も多いです。しかし、選択肢は本当にそれしかないのでしょうか?
事務所を存続させる方法や雇用されている税理士が辞める時との違いも含めてご紹介していきます。

税理士事務所の経営を辞めたいと思う時とは

税理士事務所の経営を辞めたいと思うときとは

税理士事務所が廃業を考え始めるタイミングは下記のようなものです。

  • 「年齢的に引退について考え始めている」
  • 「経営が難しくなってきている」
  • 「新たな事業への挑戦を考えている」
  • 「介護などプライベートな問題で今までのように仕事を続けられなくなった」

しかし、多くの顧客を抱える税理士事務所の所長は、そう簡単に辞めることができません。

税理士事務所を辞める前の心配事

税理士事務所を辞める前の心配事

廃業するとなると、下記のような心配事が見えてきます。

  • 「顧客の顧問契約や税務をどうするのか」
  • 「既存従業員の雇用はどうするのか」
  • 「事業の存続はどうするのか」
  • 「後継者はどうするのか」
  • 「事務所や土地、財産や権利はどうするのか」

など、多くの問題が待ち構えています。
さらに税理士と顧客はこれまでの信頼関係で成り立っている部分も大きく、簡単に「辞めます」と言えないケースがほとんどでしょう。

後継者不足の問題については本サイトでもご紹介してきましたが、他にも多くの心配事が蔓延っています。

たとえばツールの進化による会計ソフトの普及であれば、これまで税理士が行ってきた作業の一部が税理士以外でも対応可能になり、専門的な業務以外の報酬の低下を招いています。

高齢化社会、現代では高齢の親の面倒をみることが多く、社長業もこなす開業税理士を続けることが難しくなったというケースもあります。所長自身の体力や精神的な不安なども考えられます。

経営を辞めた時にメリットはあるのか?

経営を辞めた時にメリットはあるのか?

経営を辞めた時のメリットはたくさんあります。

  • 時間が自由に使える
  • 身体的・精神的な健康を意識して改善できる
  • 責任・不安・プレッシャーから解放される
  • 会社を売った場合には大きな収入ができる
  • 新しいことに挑戦できる

想像してみてください。明日からは仕事や責任、プレッシャーがすべて無くなり、時間と資金を自由に使えるようになる。家族との時間を増やしたり、勉学や運動、趣味に没頭するなど、選択肢が広がります。

開業税理士は自分の判断で生涯現役を続けられますが、仕事の責任が大きく、体力的な問題やプライベートの変化によって、続けることが難しくなることも事実です。

身体的・精神的に厳しい状態の中、無理して経営を続けてしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。だからこそ、このまま事務所経営を辞めるべきか?事務所を存続させる方法はないのか?さまざまな可能性を探ったうえで、結論を出すべきです。

まずは悩んでいるのであれば、辞めた後の生活やメリットを想像してみましょう。

現状を維持・改善するための対処法

税理士事務所を辞めたいと思った時に継続・改善する対処法

辞めた後の生活やメリットが想像できたら、次は現状を維持・改善できた場合を想像してみましょう。
現状からストレスや負担が軽減できたらどうでしょう?

税理士事務所を辞めたいと思いつつも、現状を維持・改善できないかと模索されていることもあるでしょう。もし、負担を軽減できて現状を維持・改善できるのであれば、その方が事務所の関係者にとっては良好と言えるでしょう。

業務改善の方法は多々ありますが、根本的な部分では以下の3つがオススメです。

業務の効率化

会計ソフトやクラウドサービスなどを活用し、業務の効率化を図ります。
業務が効率化できれば仕事に対するストレスや不満の多くが解決できます。

人材育成

従業員のスキルアップを図り、事務所全体の自主管理と生産性を向上させます。
従業員各々による管理能力と生産性が向上されれば業務が効率よく自動化されます。

コスト削減

不必要な経費を削減し、収益性を高めます。
不要なコストを削減することで利益率を高め、余剰分を事務所の改善や社員へ還元していくことでより良い職場環境を作り上げられます。結果的に社員の満足度を高めて離職を減らし効率的に仕事が行え、人材育成と業務の効率化に繋がります。

アックスコンサルティングでは事務所のM&A・事業承継の他、業務改善や効率化、マーケティング支援のご相談も受け付けております。お悩みの際には是非ご相談ください。

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税理士事務所のM&A・事業継承を一貫してサポートいたします。

経営者が税理士事務所を辞める時の選択肢

経営者が税理士事務所を辞める時の選択肢

では、事務所経営を辞める際にはどんな選択肢があるのでしょうか。大きく以下の4つに分けられます。

  • 廃業
  • 親族間の事業承継
  • 第三者への事業承継
  • M&A(譲渡・売却)

廃業

廃業を選択する場合は、顧問先や既存従業員の雇用などをどうするかをなるべく早い段階で検討・計画して廃業を進めていかなくてはなりません。契約や雇用だけでなく、人間関係や信頼関係についてのケアも必要になるでしょう。

事業承継

子どもや親族、既存従業員など近い関係にある人材が事業を継いでくれるのであれば、事業承継を検討しましょう。これまでの事務所の経営や歴史について引き継げるようにまとめておくと良いでしょう。また、事業承継のスケジュールを立てて、先を見越しておけば問題ないでしょう。

事業承継については下記の生地にて詳しく解説しています。

M&A

継いでくれる候補がいない場合は、M&Aを検討することになります。近年では後継者問題は茶飯事ですので、M&Aという選択肢も頻繁に出てきます。

事業としては存続させたいものの後継者がいないことから、なかなか事業承継ができずに続けている。しかし体力的にも精神的にもそろそろ限界を感じているなど、現代の税理士業界ではよく聞く話です。ともすればM&Aという選択肢が濃厚になります。しかしながら身体的・精神的にも切迫したそのような状態では、ご自身で後継者を外部から探すことも難しいでしょう。

会計事務所M&A支援協会では、以下のような方に向けたサービスを取り扱っております。

  • 事務所を売りたい
  • 事務所を買いたい
  • 後継者を募集したい
  • 後継者として立候補したい

下記のページにて詳しくご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

M&Aといっても、どうしたらいいのかわからない…なら、専門家に相談するべき!

税理士業界でもM&Aが注目されていますが、実際に取り組むとなると何をしたらいいのかわからないという声をよく聞きます。そういう時こそ、専門家の手を借りるべきです。むやみやたらにM&Aを進めてしまうと思わぬ損失を招く結果に繋がります。

「会計事務所M&A支援協会®」では、後継者不足に悩む先生と、今後独立したい、事業を拡大したいと考えている事務所が出会えるようお手伝いをさせていただきます。

会計事務所M&A支援協会のサービス



事業を譲渡したい



事務所を譲り受けたい



後継者を募集中


後継者として
立候補したい

後継者を募ることで、外部から後継者を探すことで事務所を存続させたいと考えている先生もいらっしゃいます。外部からの後継者と聞くと、顧客や従業員はもちろん、事務所の経営方針や雰囲気もそのまま維持してくれそうな人材を見つけることが難しいように思えます。

そんなとき、弊社のような士業専門のM&A専門家に依頼することで、事務所に合った後継者を見つけやすくなります。士業専門で35年の経験と幅広い人脈で、顧客や従業員に迷惑をかけるような人材を紹介するようなことはありません。安心してM&Aを進めていただけます。

所属税理士が辞めるとき、経営者が辞めるとき、その違いとは?

所属税理士が辞めるとき、経営者が辞めるとき、その違いとは

税理士事務所の経営者が辞めるときには、顧問先へのフォローや既存従業員の雇用維持、など事務所全体の業務はもちろん、人間関係を崩すことなく廃業するために早めの計画が必要ということをお伝えしました。

経営者が辞めるのと、所属税理士が辞めるのでは、責任や重みが違います。

所属税理士が辞めたいと思う理由

所属税理士が辞めたい理由として多いのが、「事務所に対する不満」もしくは「人間関係への不満」と言われています。ポジティブな理由としてはキャリアアップになりますが、現在の事務所で満足できなかったということになります。

税理士事務所の所長が辞めたい思う理由

冒頭で紹介した通り、下記のような理由があげられます。

  • 「年齢的に引退について考え始めている」
  • 「経営が難しくなってきている」
  • 「新たな事業への挑戦を考えている」
  • 「介護などプライベートな問題で今までのように仕事を続けられなくなった」

所属税理士と経営者が辞めるのでは重みが違う

所属税理士と経営者である所長税理士が辞めることは、周囲への影響がまったく違います。

所属税理士が退職する際にはもちろん引き継ぎなどのフォローは必要ですが、基本的に通常の従業員の退職と同じです。しかし、所長税理士が辞めるということは、事務所は存続させるのか、既存従業員や顧客への対応はどうするのか、事業承継する場合に新しい所長はどういう人が来るのか、今後の事務所の経営方針や対応などもはっきりさせる必要があります。

税理士事務所の所長が辞める場合の流れ

税理士事務所の所長が辞める場合の流れ

税理士事務所の所長が辞める場合、事務所の存続や顧客への対応など、様々な要素を考慮する必要があり、一般社員の退職とは大きく異なります。

STEP
税理士法人解散手続
税理士法人(主たる事務所)解散の届出

※東京税理士会:税理士法人(主たる事務所)を解散した場合、より

従たる事務所廃止の届出

※東京税理士会:税理士法人(従たる事務所)を廃止した場合、より

STEP
清算結了・清算登記手続

※東京税理士会:税理士法人の清算・結了手続きについて、より

https://www.tokyozeirishikai.or.jp/tax_accountant/certify/about/breakup_flow

事務所の閉業には上記の法的手続きが必須になります。
それ以外にも所長としてやるべき事が下記のように多々あります。

STEP
辞める決意と理由の明確化
辞める理由

健康上の問題、事業の方向性の変更、個人的な事情など、辞める理由を明確にすることで、今後の手続きや顧客への説明がスムーズになります。

事務所の今後

事務所を閉鎖するのか、別の税理士に引き継ぐのか、それとも事務所を売却するのかなど、事務所の将来について具体的な計画を立てます。

STEP
関係者への説明と同意
従業員

従業員には、辞める理由と今後の事務所の状況について、誠意を持って説明し、理解を求めます。

顧客

顧客にも、同様の説明を行い、新しい担当者や事務所への移行について、円滑に進めるためのサポートを行います。

取引先

金融機関やソフトウェア会社など、事務所と取引のある企業にも、状況を伝え、必要な手続きを進めます。

STEP
事務所の引き継ぎ
事務所の譲渡

事務所を別の税理士に譲渡する場合、顧客リスト、会計ソフト、備品などの引き継ぎを行います。

顧客の移管

顧客には、新しい担当税理士を紹介し、円滑な移管をサポートします。

従業員の雇用

従業員の雇用については、新しい事務所で雇用されるか、再就職を支援するなどの対応が必要です。

STEP
法的手続き
税理士法人解散手続、清算結了・清算登記手続

税理士会に登録抹消の手続きを行います。

契約の解除

リース契約、ソフトウェア使用契約などの契約を解除します。

債権債務の整理

事務所の債権債務を整理し、残債務があれば返済計画を立てます。

STEP
顧客への最終的な対応
顧客データの返却

顧客のデータは、顧客の同意を得て、新しい担当税理士に引き渡すか、顧客自身に返却します。

最終的な請求書発行

未払い料金があれば、最終的な請求書を発行し、回収を行います。

STEP
事務所の閉鎖
事務所の解約

事務所を借りている場合は、賃貸借契約を解除します。

備品の処分

事務所にある備品を処分します。

STEP
税務申告
確定申告

辞める年度の確定申告を期限内に完了させます。

源泉所得税の納付

従業員の源泉所得税を納付します。

このように、所長が事務所を辞めるといっても一朝一夕ではできないのが事実です。手続きに加え従業員のフォローや顧客との関係性など複雑なものになってきます。

お悩みの際にはアックスコンサルティングにご相談ください。

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税理士事務所のM&A・事業継承を一貫してサポートいたします。

「税理士事務所を辞めたい」と思ったら、専門家の手を借りるべき

税理士事務所を辞めたいと考えた時、進む道は廃業だけではありません。周囲への影響も考え、ぜひ検討していただきたいのが、M&Aなど事務所を継続させる方法です。

とはいえ、M&Aをするにしても「何から着手すべきかわからない」という方がほとんどでしょう。そこで、おすすめしたいのが専門家に依頼してM&Aを進めることです。税理士事務所の譲渡先を求めている先生と、譲り受けたいと考えている先生を結び付けるプロの手を借りることで、事務所を存続させることができます。

こうしたマッチングサービスを行っている専門会社なら、どこに依頼しても大丈夫というわけではありません。

  • 「これまで続けてきた事務所の経営方針や理念を引き継いでくれるか」
  • 「既存従業員はそのまま雇用してもらいたい」
  • 「お世話になったクライアントの顧問や税務をそのまま続けてもらいたい」

などの実務的な希望はもちろん、現所長との相性や考え方がマッチするかなど、人柄も重要な要素。そうした細かなところまでリサーチを行い、マッチングしてくれるかを見極めなくてはなりません。

我々が運営する「会計事務所M&A支援協会®」は、税理士事務所専門のM&Aコンサルタントで、長年税理士事務所に関わってきた経験やネットワークを持っています。専任のコンサルタントが要望をしっかりと聞き取り、事前に登録されている譲受希望の事務所リストから双方にとってベストなM&Aを提案してくれます。

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まとめ

独立し事務所を開設することは多くの税理士が目指す一つの目標ですが、税理士業務をこなしながら事務所の経営者としての業務をこなす必要があり、思った以上に責任の大きな職務です。­だからこそ、「税理士事務所を辞めたい」と思った時には、どういう選択が自分や周囲にとってもベストなのか、よく考えなくてはなりません。

ここでは、事務所を廃業するだけが税理士事務所を辞める方法ではなく、事業承継やM&Aなどの道もあること、そして特に後継者不足に悩む先生方におすすめしたいM&Aについてご紹介しました。特に重要なのはM&Aを成功させるために専門家を味方に付けること、そして専門家も吟味しなくてはならないということです。この記事を参考に、ぜひ計画的なハッピーリタイアを実現してください。