税理士事務所の後継者がいないときの対処法と後継者募集をおすすめする理由

税理士事務所の引継ぎ人材なら「後継立候補者募集」~後継者を外部採用する流れ

当協会は35年以上にわたり、税理士事務所M&Aの専門コンサルタントとして多くの所長先生の事業承継をお手伝いしてきました。

実際に当協会へご相談いただく税理士の先生方の中には、後継者不在が深刻な問題となっており、「このまま事務所を続けていくべきか」「どのように引き継げばよいか」と悩まれている方が数多くいらっしゃいます。

キャットアイコン
支援キャット

M&A支援を行ってきた経験から、後継者問題の解決方法として「後継者募集」や「M&A」が有効な選択肢となるケースを数多く見てきました。この記事ではその知見をもとに詳しく解説します。

目次
  1. 税理士事務所の後継者問題とは?
    1. 少子高齢化など社会的な問題
    2. 税理士事務所の大規模化や専門化など形態の変化
    3. 【税理士業界特有】後継者は税理士資格の保有者であることが必須
    4. 後継者候補となる人材雇用の難しさ
    5. 大手税理士事務所の存在
  2. 後継者問題の重要性
  3. 税理士事務所に後継者がいない時の対処方法
    1. ①税理士事務所の後継者を募集する(外部)
    2. ②税理士事務所で後継者を育てる(内部)
    3. ③税理士事務所を売却(M&A)する
    4. ④税理士事務所を廃業する
  4. 後継者募集が向いている人・向いていない人
    1. 後継者募集が「向いている」事務所の特徴
    2. 後継者募集が「向いていない」事務所の特徴
    3. 1. 個人に依存するリスクを避けたい場合
    4. 2. 時間的な余裕がない場合
    5. 3. 確実性を重視する場合
    6. 後継者募集の診断チェックリスト
  5. 後継者募集がうまくいかないケース
    1. 失敗パターン①:育てた後継者が独立してしまう
    2. 失敗パターン②:関係が良好でも後継者になってくれない
    3. 失敗パターン③:有資格者を独立させてきた結果、後継者不在に
    4. 失敗パターン④:個人に依存するリスク
  6. 税理士事務所が後継者を募集して成功した事例
    1. 士業事務所のM&A事例集19人の所長と職員の本音に迫る
    2. 資料ダウンロード
  7. 【その他募集方法】求人により外部から後継者を採用する
  8. 士業専門のコンサルティング会社が行う後継者探しの支援
  9. 後継者を外部採用する際に注意すべきことは?
  10. 承継後のフォローまでしっかりと
  11. 税理士の後継者募集に関するQ&A
  12. まとめ

税理士事務所の後継者問題とは?

税理士事務所の後継者不足問題の背景には、いくつかの要因があります。

業界の実態

日本税理士連合会の実態調査(第6回、2014年)でも、税理士登録者のうち60代以上が53.8%と過半数を占めています。当協会が35年以上にわたり税理士事務所のM&A支援を行ってきた経験からも、業界全体で高齢化が進行しており、後継者問題は今後ますます深刻化していくと考えられます。

こうした理由から、近年では後継者が見つからずに廃業を選ぶ税理士事務所も増加しています。しかし、廃業という選択は結論としてお勧めできません。長年築いてきた顧客との信頼関係や事務所の価値を守るためにも、早めに後継者対策を検討することが重要です。

ここでは、税理士事務所の後継者問題について、解説していきます。

少子高齢化など社会的な問題

かつての税理士業界では、子どもがそのまま事務所を継ぐといった親族間承継が一般的でした。

しかし、近年は少子化の影響で子どもがいなかったり、そもそも後継者候補となる若い世代が少ない、あるいは資格を取得しておらず事業を引き継げないといった問題が生じています。

さらに、「親の事務所を継ぐのが当然」という考え方も薄れ、多様な生き方を尊重する時代になりました。

下のデータは税理士の年齢層を示したものです。

キャットアイコン
支援キャット

全体のうち50歳以上が半数を超えており、後継者となり得る20〜30代の若手世代はわずか14%にとどまっています。

年齢層割合
20代1%
30代13%
40代30%
50代18%
60代17%
70代10%
80代11%
合計100%
税理士年齢(出典:日本税理士連合会『第6回税理士実態調査』(平成26年1月1日現在、32,747人対象)より作成)

税理士事務所の大規模化や専門化など形態の変化

税理士事務所の多くは個人事業主として運営されていますが、近年では複数の登録税理士を雇用する税理士法人や、専門分野に特化した依頼を受ける事務所が増えるなど、業界の形態も変化しています。

その結果、求められる知識やスキルのレベルが一段と高まり、対応できる後継者を見つけることがより難しくなっているのです。

【税理士業界特有】後継者は税理士資格の保有者であることが必須

税理士事務所の事業承継において、他の業種と大きく異なる点があります。それは、後継者は税理士資格の保有者であることが必須条件だという点です。

一般的な企業であれば、経営能力や人望があれば後継者として成立しますが、税理士事務所の場合は資格がなければそもそも事業を引き継ぐことができません。

さらに、当協会が支援してきた多くの事例から言えることは、税理士資格を持っているからといって、必ずしも事務所の所長として適しているとは限らないということです。所長には、税務の専門知識だけでなく、顧客対応力、スタッフのマネジメント能力、経営判断力など、多岐にわたるスキルが求められます。

この「資格要件」と「所長としての適性」という二重のハードルが、税理士事務所の後継者問題をより複雑にしている要因の一つです。

後継者候補となる人材雇用の難しさ

後継者候補となる人材を採用し、育成していくという方法もあります。

しかし、せっかく時間と労力をかけて育てても突然辞職してしまうケースや、若手の後継者候補は大手に集まるなど、採用も難しくなっています

当協会の経験では、有能な税理士ほど独立する傾向があるということも見逃せません。税理士には「資格を取ったからには、自分の事務所を持ちたい」という思いの強い方が多く、後継者として育てていきたいと思える人材ほど独立してしまうケースが多く見受けられます。

キャットアイコン
支援キャット

当協会に相談に来られた所長先生の中にも、「後継者として育てていた職員が独立してしまい、再度後継者を採用して育てることの難しさとリスクを感じてM&Aを決断した」という方がいらっしゃいます。

特に地方の税理士事務所では人材確保がより難しく、後継者を育てる環境づくり自体が大きな課題となっています。

大手税理士事務所の存在

最後に挙げられるのが、大手税理士事務所の存在です。これも後継者不足を引き起こす大きな要因の一つです。
大手事務所が市場シェアを拡大するにつれ、中小の税理士事務所には人材が集まりにくくなってしまいます。

さらに、顧客も大手へ流れる傾向が強まり、その結果、中小事務所では顧客数の減少や待遇・給与にも影響が出始め、待遇が下がれば当然、税理士資格の採用も難しくなり、若手人材の確保が一層困難になります。

一方で大手事務所は、豊富な資金力とブランド力を背景に優秀な人材を集めやすく、全国規模での拠点展開を進めています。
こうした流れが続くことで、中小の税理士事務所では後継者不足がさらに深刻化しているのです。

後継者問題の重要性

後継者不足により、税理士事務所そのものが存続できなくなるというのが最も深刻な事態です。

廃業を選択すると、それまで築き上げてきた実績や人脈がすべて失われてしまいます。当協会が35年以上にわたり見てきた経験からも、廃業してしまうと、長年付いてきてくれた職員は収入を失い、顧問先は新たな税理士を探してゼロから人間関係を作り直さなければなりません

税理士事務所にはそれぞれ、立地・ブランド・専門性・対応力・コストパフォーマンスなどの強みがあり、同じ事務所は二つと存在しません。
幾多もある税理士事務所の中からお客様に選ばれた事務所が、「後継者がいない」という理由だけで廃業に追い込まれてしまうのは、非常に残念なことです。

また、この問題は税理士事務所にとってだけでなく、顧客にとっても重大な問題です。
長年任せてきた税理士事務所が廃業してしまえば、顧客は「次の事務所でも同じように対応してもらえるだろうか」と不安を抱えながら、新たな依頼先を探さなければなりません。

このように、後継者問題は所長・従業員・顧客すべてに影響を及ぼす、業界全体の重要課題となっています。

キャットアイコン
支援キャット

当協会では、「顧問先のサポートや職員の雇用を継続し、所長先生が安心して引退できる」ことを実現するために、後継者募集やM&Aといった選択肢をご提案しています。廃業ではなく「事業を誰かに託す」という選択が、関わるすべての人にとってより良い結果につながります。

税理士事務所に後継者がいない時の対処方法

税理士事務所に後継者がいない場合に取るべき選択肢は大きく4つあります。

このうち、税理士事務所を存続させる方法が3つ。そして最終的な選択肢として廃業があります。

後継者が居ないときの対処方法
  • 税理士事務所の後継者を募集する(外部)
  • 税理士事務所で後継者を育てる(内部)
  • 税理士事務所を売却(M&A)する
  • 税理士事務所を廃業する
キャットアイコン
支援キャット

それぞれの承継方法には特徴があり、「環境維持」「創業者利益」「関係者の納得」「成長性」の4つの観点で比較すると以下のようになります。

承継方法環境維持創業者利益関係者の納得成長性
【内部】親族
【内部】社員・職員
【外部】後継者募集
M&A
廃業×××
キャットアイコン
支援キャット

後継者募集は「よい方が見つかれば引き継ぎしやすい」というメリットがある一方、「採用、育成に時間がかかる」というデメリットもあります。各方法の特徴を理解した上で、ご自身の事務所に最適な選択肢を検討することが重要です。

それぞれの対処方法について、具体的な進め方やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

①税理士事務所の後継者を募集する(外部)

既存社員の中に後継者候補がいない場合は、外部から人材を募集する方法があります。

近年では、税理士事務所や税理士事務所でも後継者募集を通じて事業承継を行うケースが増えています。

後継者募集の一般的な流れは、以下のようになります。

外部から後継者を募集する流れ

募集活動から引き継ぎまでを、専門のサポートを受けながら進めることで、スムーズかつ安心して後継者を見つけることが可能です。

キャットアイコン
支援キャット

弊社では、こうした後継者募集のサポートサービスを提供しております。「後継者が見つからない」「募集の進め方が分からない」とお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

また、「後継者募集」は比較的スムーズに事業承継を進められる方法ですが、注意すべき点も少なくありません。

キャットアイコン
支援キャット

実際に、後継者募集のメリットとデメリットも確認しておきましょう。

メリット
  • 顧問先に安心してもらえる
  • 職員の雇用を守れる
  • 所長の経営手法を直に承継できる
  • 元所長自身が業務を続けることも出来る
  • すでに経営の知識や技術を持った人材を選択できる
  • 事務所の後継者として確固たる意思を持っている
  • 職員からの信頼を±0からスタートできる
デメリット
  • 希望に叶う相手が現れるまでに時間がかかるケースが多い
  • 面接時に意思や能力を見極めるのが難しい
  • 相性が合わないと独立されてしまう恐れがある

②税理士事務所で後継者を育てる(内部)

事務所に在籍する税理士資格を持つ社員の中から、職員からの信頼が厚い人材を選び、将来的な事務所の引き継ぎを前提に育成していく方法です。

ただし、税務業務を担当する「所属税理士」と、事務所を経営する「経営者」とでは、求められる能力が大きく異なります。

そのため、後継者となる人材には、経営学・マーケティング・Web活用・市場分析など、幅広い分野を学びながら、事務所運営のノウハウを身につける必要があります。

事務所内で後継者を育てて引き継ぐ流れ

後継者を育てる場合には、時間をかけて理念やノウハウを引き継げる強みがある一方で、育成に伴うリスクや課題も存在します。

以下では、税理士事務所内で後継者を育てる場合のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット
  • 顧問先に安心してもらえる
  • 職員の雇用を守れる
  • 所長の経営手法を直に承継できる
  • 元所長自身が業務を続けることも出来る
  • 職場への理解がある
  • 職員からの信頼がある
デメリット
  • 年齢や適性が合致せず、後継者としての人材がそもそも居ない場合もある
  • 若年の人材が居ても育成に非常に時間がかかる
  • 期待通りに育ってくれない可能性がある
  • 有能な税理士ほど独立志向が強い

③税理士事務所を売却(M&A)する

税理士事務所の後継者を探すのではなく、事務所そのものを売却(譲渡)する方法もあります。
これは、いわゆるM&A(事業譲渡)による事業承継です。

弊社が運営するM&Aサポートサービスにご登録いただくことで、専門スタッフのサポートを受けながら、スムーズに手続きを進めることができます。

基本的なM&A(事業譲渡)の流れは次の通りです。

事務所を売却する流れ

弊社では、後継者募集のサポートに加えて、M&Aの仲介支援も行っております。
「事務所を譲りたい先生」「新たに事務所を引き継ぎたい先生」それぞれに向けて案件情報を公開しています。

キャットアイコン
支援キャット

条件に合うお相手とのマッチングを専門スタッフが一貫してサポートいたします。

▼ 最新の案件情報(譲渡案件/譲受案件)はこちら

キャットアイコン
支援キャット

また弊社では、税理士事務所のM&Aの進め方や事例集をまとめた資料を無料で配布しています。
ぜひダウンロードして、事前の情報収集にお役立てください。

▼ 最新の案件情報(譲渡案件/譲受案件)はこちら

M&Aを活用した事業承継は、専門的なサポートのもとで安心して進められる方法ですが、同時に検討時に知っておくべきメリットとデメリットもあります。

次に、それぞれのポイントを見ていきましょう。

メリット
  • 廃業せずに後継者問題を解決できる
  • 職場の環境を変えずに引退できる
  • 経営を任せて別事業に専念できる
  • 後継者募集や後継者育成よりもマッチングしやすい
  • 現金化もしくは新株式などが取得できる
デメリット
  • 後継者候補からの選定と比較すると手続きに時間がかかる
  • 運営母体が変わることから顧客や取引先との契約にも影響がでやすい
  • 手数料がかかる

④税理士事務所を廃業する

税理士事務所の廃業は、最後の選択肢となります。
廃業を決断すると、従業員や顧客に大きな影響を与えるため、可能な限り、後継者の確保やM&Aによる事務所の存続を検討することが望ましいでしょう。

廃業の手続きは、個人事業か法人かによって大きく異なります。
個人事業の場合は、以下の書類を税務署などへ提出することで廃業手続きが完了します。

事務所を廃業する手続き
キャットアイコン
支援キャット

なお、法人の場合の廃業手続きは、登記や清算、決算申告などが関わるため手続きが複雑になります。ここで詳しく説明すると長くなるため、今回は割愛します。

このように、廃業は最終手段として慎重な判断が求められますが、実際に選択する際には、どのような利点と注意点があるのかを理解しておくことも大切です。

税理士事務所を廃業する場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット
  • 後継者やM&Aのようにマッチングを待つ必要がない
  • 手数料がかからない
デメリット
  • 従業員のフォローが必要になる
  • 取引先のフォローが必要になる
  • 資産処理が必要になる
  • 廃業費用が必要になることがある

後継者募集が向いている人・向いていない人

後継者募集とM&A、どちらを選ぶべきかは事務所の状況によって異なります。当協会の35年以上の支援経験から、それぞれに向いている事務所の特徴を整理しました。

後継者募集が「向いている」事務所の特徴

以下の条件を満たす事務所では、後継者募集が有効な選択肢となる場合があります。

条件理由
準備期間に十分な余裕がある(5年以上)後継者の育成には最低でも3年、さらに採用・試用期間を含めると5年以上必要
事務所の業務が仕組化されている所長依存度が低く、後継者が引き継ぎやすい体制が整っている
小規模で顧問先との関係が深い所長のカラーを受け継ぐ後継者のほうが、顧問先が安心する場合がある
M&A後の環境変化を避けたい事務所の場所・雰囲気・名称をそのまま残したい強い希望がある

後継者募集が「向いていない」事務所の特徴

一方で、以下のような状況にある事務所では、後継者募集よりもM&Aを検討すべきケースが多いです。

状況リスク・問題点
準備期間が3年未満育成が間に合わず、引き継ぎ失敗のリスクが高い
過去に職員を独立させてきた同じパターンを繰り返す可能性が高い(有能な税理士ほど独立する傾向がある)
所長の年齢が70歳以上後継者育成中に健康リスクが顕在化する可能性がある
人件費率が60%を超えている後継者に給与を払う余裕がなく、条件面で折り合いがつかない
売上規模が2,000万円未満後継者にとっての魅力が低く、良い人材が集まりにくい

なぜM&Aのほうが安心できるケースがあるのか

当協会の経験では、以下のような事務所はM&Aを選択するほうが安心です。

1. 個人に依存するリスクを避けたい場合

税理士個人への事業承継を前提に準備を進める限り、その税理士のライフプランやキャリアプランに左右され、計画通りに進まないリスクがあります。組織のほうが事業承継の相手として安心できる場合があります

2. 時間的な余裕がない場合

後継者募集には「採用→育成→試用→承継」のプロセスで最低5年が必要です。一方、M&Aは約6か月で契約締結まで進められ、引き継ぎ期間を含めても1〜3年で完了します。

3. 確実性を重視する場合

後継者募集は「見つからない」「育たない」「独立される」という3つの不確実性があります。M&Aは相手先が決まった時点で契約を書面化でき、条件の可視化が可能です。

後継者募集の診断チェックリスト

以下の項目で「はい」が多いほど、後継者募集よりM&Aが適しています。

  • 引退希望時期まで5年を切っている
  • 過去に職員税理士が独立したことがある
  • 事務所の業務が所長に依存している
  • 人件費率が高く、新たな人材を雇う余裕がない
  • 確実に引き継ぎを完了させたい
  • 万が一の場合に備えておきたい
当協会からのアドバイス

後継者募集とM&A、当協会では無料相談を実施しておりますので、「どちらが向いているか」迷われている方もお気軽にご相談ください。

後継者募集がうまくいかないケース

後継者募集は理想的な選択肢に見えますが、当協会が35年以上の支援実績で見てきた中には、多くの所長先生がつまずくパターンがあります。代表的な失敗事例をご紹介します。

失敗パターン①:育てた後継者が独立してしまう

当協会の支援経験で最も多い失敗パターンがこれです。

数年かけて育成し、ようやく事務所を任せられるレベルになった矢先、「独立したい」と告げられる――。所長先生にとっては時間と労力が水の泡になる瞬間です。

実際に、当協会に相談に来られた所長先生の中には、このような経験からM&Aを決断された方が多くいらっしゃいます。

実例

後継者として育てていた職員が独立。再度、後継者を採用して育てることの難しさとリスクを感じ、M&Aを決断されました。

キャットアイコン
支援キャット

当協会の経験から言えるのは、有能な税理士ほど独立する傾向があるということです。優秀な人材を採用すればするほど、独立リスクが高まるというジレンマがあるのです。

失敗パターン②:関係が良好でも後継者になってくれない

「うちの事務所は雰囲気が良いから大丈夫」と思っていても、職員税理士には職員税理士のキャリアプランがあります。

当協会の支援経験では、所長先生と職員税理士の関係が良好でも、後継者になってくれるとは限らないケースを数多く見てきました。

職員税理士が描くキャリアプランは主に3つです。

  • 勤務継続 – 今の事務所で働き続けたい
  • 転職 – 別の事務所や企業に移りたい
  • 独立 – 自分の事務所を持ちたい

「継続勤務」を選んでも、「後継者になる」とは別の話です。経営責任を負いたくない、リスクを取りたくないという理由で断られるケースも少なくありません。

当協会からのアドバイス

後継者人事のアテが外れるケースで最も多いのは、後継者にしようと思っていた職員に独立されてしまうことです。士業は独立志向の強い職業であることを認識し、社員税理士のキャリアプランを早めに確認しておくことが大切です。

失敗パターン③:有資格者を独立させてきた結果、後継者不在に

当協会が支援してきた事例の中には、「良くも悪くも昭和のやり方」で有能な税理士を次々と独立させてきた結果、気づけば事務所に後継者候補がいない、というケースがありました。

「部下の独立を応援するのが良い所長」という価値観で独立を後押しした結果、自分の事業承継で困ることになるのです。

失敗パターン④:個人に依存するリスク

後継者募集は「個人」に事業を託す方法です。しかし、個人には病気、家庭の事情、心変わりなど、コントロールできない要素がたくさんあります。

当協会の経験では、税理士個人への事業承継を前提に準備を進める限り、その税理士のライフプランやキャリアプランに左右され、計画通りに進まないケースが多くあります。

一方、組織(税理士法人など)への事業承継であれば、個人の事情に左右されることなく、計画的に引き継ぎを進めることができます。

なぜ後継者募集は難しいのか?

これらの失敗パターンに共通するのは、税理士業界特有の構造的問題です。

問題内容
資格要件後継者は税理士資格の保有者であることが必須
独立志向有能な税理士ほど独立する傾向がある
採用難税理士の需給バランスで、優秀な人材の確保が困難
育成コスト事務所を任せられるレベルまで数年〜10年かかる
不確実性個人のライフプラン・キャリアプランに左右される

また、当協会の経験から言えるのは、税理士資格保有者が必ずしも所長に適しているとは限らないということです。資格があっても、経営能力は別問題なのです。

当協会からのアドバイス

後継者募集が難しいと感じたら、M&Aという選択肢も検討してみてください。組織への事業承継であれば、個人のライフプランに左右されることなく、計画的に引き継ぎを進めることができます。当協会では無料相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

税理士事務所が後継者を募集して成功した事例

年収が大幅に上がった事例

後継者として外部から税理士を採用して後継者側の年収が大きく上がった事例です。後継者の年収向上を意識しており、最初は比較的少ない年収からスタートしました。後継者が業績を上げられる環境を整え、顧客との関係構築や事務所内の運営管理を任せ、後継者にしっかりと責任を持たせることで、業績が順調に伸びました。

この結果、税理士事務所に勤務していたときの年収は450万でしたが、3年で1,200万まで増加しました。後継者は、「これほどの年収を得られるとは思わなかった。」と驚きながらも、やりがいを感じつつ、「事務所と自身の成長を実感できる」と満足されています。

独立の際の満足感

後継者募集で迎えた税理士が、後継者として経営に成功した事例です。
後継者には十分なサポートと経営ノウハウを提供し、数年間にわたり徐々に責任を引き継がせていきました。顧客や従業員との信頼関係が築かれるにつれて、収入は着実に増加していきました。

その後は事務所の経営を継続し、見事に独立を果たしました。雇われだった税理士時代と比較して、元経営者や現従業員のサポートもあり、安定した顧客基盤と事務所の経営ノウハウを活かせたことにより収入は倍増。独立した際の感想として、「最初は不安だったが、経営者から直接すべてを教えてもらえることで、経営者としての経験やノウハウが確実に身につき、それらは自信と結果につながりました。独立後は以前よりも大きな自由度を感じている。」と良い感想をいただきました。

新しいチャンスを得た事例

後継者として採用された税理士が、事務所の規模拡大とともに新たなチャンスを手に入れた事例です。
業務の引き継ぎに加えて、新規顧客の開拓や事務所のブランディングにも注力しました。事業を譲渡するというタイミングで新しい取り組みを行いました。この改革のチャンスを活かして、事務所と後継者は数年間で大きな成長を遂げ、売上・年収は大きく増加しました。

後継者は、年収が上がっただけでなく、自らの技量を活かせるチャンスを得られました。その結果、自身の施策で顧客を獲得したことで、自信とやりがいを感じられ「事務所のブランドを強化するプロジェクトにも携わり、税理士としてのスキル向上に加え、経営者としての経験も積むことができた。」と、満足されています。

士業事務所のM&A事例集

士業事務所のM&A事例集

19人の所長と職員の本音に迫る


日本全国の士業事務所に取材を行い、全44ページにわたってM&Aの事例をご紹介しています。譲渡側・譲受側それぞれの「想い」や「葛藤」のほか、M&Aを成功に導くためのポイントがわかります。

【その他募集方法】求人により外部から後継者を採用する

一般的な人材紹介会社では、募集の希望として「事務所の後継者候補として」という条件は付けられても、どういう人材が応募してくるのか、採用後に希望に沿わない人材かもしれないなどの不安が残ります。そこで有効なのが、税理士専門の後継者紹介サービスです。

税理士業界に精通した専門の後継者紹介サービスなら、求人側・求職側のそれぞれ希望を具体的に聞き出し、双方の希望に沿った相手を紹介することができます。事務所の経営方針を引き継ぎつつ、これまで以上に発展させてくれる後継者を見つけるためには、このような専門の後継者紹介サービスの利用が有効と言えるでしょう。

税理士後継者紹介サービスの流れは以下になります(以下は一例)。

STEP
紹介サービス企業にて候補者の募集(人材や情報の確保)

依頼ごとの応募者を募るのではなく、事前に将来的な独立や事務所承継を希望する人材を募ります。

STEP
人材リストの作成

登録している人材の経歴・希望などをリスト化し、本人の承認を前提に公開。

STEP
人材を募集している事務所名の公開
STEP
求人側・求職側のマッチング
STEP
基本合意書・雇用契約(雇用委託)

承継を前提とした協議のうえ、必要に応じた書類の作成も実施。雇用形態や条件も明確にします。

STEP
手数料の支払い

雇用契約に至った場合、紹介サービス企業が定める一定の手数料を支払います。
事務所の規模や募集人材の難易度などによって上下しますが、一般的には0~100万程度でしょう。

士業専門のコンサルティング会社が行う後継者探しの支援

士業事務所M&A支援協会では、税理士事務所の後継者募集のサポートも行っております。

後継者のいない税理士事務所で後継者候補として働くことを希望する若手税理士の先生たちを募集しており、希望に応じて事務所の紹介が可能です。

<後継者募集の流れ> 

STEP
問い合わせ

後継者候補として働くことを希望する人材が電話・お問い合わせフォームより連絡。その後、専門のコンサルタントより返答。

STEP
事前登録(エントリー)

年齢や住所、職歴経歴など、具体的な内容を士業事務所M&A支援協会に登録。

STEP
募集事務所のご紹介

登録・希望内容から合う事務所をリストアップし、登録者へ紹介。

STEP
面接・選考

検討後、求人側、求職側ともに進めたいという場合は面接などの日程を調整し、選考を開始します。

STEP
内定・入社

勤務条件を協議し、双方が合意に至れば最終の条件を確定し、内定・入社になります。
場合によって、税理士事務所M&A支援協会が代わりに交渉を行う場合もあります。

こうした仕組みを利用することで、後継者不足に悩む事務所側は将来の後継者候補を獲得することができます。将来的な独立や事務所承継を望んでいる若手税理士にはリスクの少ない独立への挑戦が可能になります。

他にもメリットがあります。

  • 現所長に引き継ぎをしてもらえれば経営に関する実務を積むことができ、急速にスキルアップできる
  • 後継者になれば既存の顧客や経験のある職員など、安定した経営基盤を基に事務所経営をスタートできる

などメリットが多いため、一般的な募集で探すよりも互いの要望に合う後継者を探しやすくなります。

後継者を外部採用する際に注意すべきことは?

外部から後継者を迎えられることになれば、事務所も継続でき安堵することでしょう。しかし、注意しなくてはいけないこともあります。

子どもや親族など、長いつきあいのある相手ではない分、慎重にならざるをえない部分もあるのです。

求人側の注意点
  • 後継者の考えが現在の方針に沿わない、承継後に変化してしまう可能性がある
  • 従業員や顧客へのサービスをしっかりと引き継いでもらうために綿密な引き継ぎが必要
  • 事務所が培ってきた風土や文化まで承継してもらえるかという不安が残る
求職側の注意点
  • 事務所の方針や現所長の考え方によって、結果として後継者になれない可能性もある
  • 事務所の方針や現所長の考え方によって、結果として後継者になれない可能性もある
  • 事務所や現所長の方針が優先される場合がある

こうした双方の不安やリスクを最小限にするためにも、税理士業界に詳しい第三者を介することは大変効果的です。

特に経験豊富な専門家に相談することで、将来的なトラブルまで見据えた話し合いができます。

承継後のフォローまでしっかりと

後継者候補を応募・採用したらそれで後継者問題が解決するわけではありません。

承継後にこれまでの事務所と同じように業務が進んでいるか、経営は安定しそうか、従業員の不満はないか、ほかにも多種多様な確認が必要です。

そのためには承継後のフォロー項目や手順まで事前に知っておくようにしましょう。

これまで依頼してくれていたクライアントや関係各社とは業務はもちろん、長年培ってきた信頼関係で結ばれています。だからこそ、事務所が世代交代した後もその関係を続けられるようにしていかなくてはなりません。

顧客への通達

現所長が在籍中から、今後の事務所の変化や新所長候補について伝え、よい印象を与えられるようにすれば、顧客が離れていくのを防ぐことができます。以下のような点を意識して伝えられれば、事業承継後も変わらずに関係を続けていけるでしょう。

  • 所長税理士が変わった後もこれまでと同じサポートが受けられる
  • 前所長と同じ考えを持ち、信頼できる
  • 相性がよく、今後の自社を任せたいと思える
従業員への通達

次に気を付けなくてはならないのが、既存職員との関係性です。重要なのは、不安感をぬぐうことです。長く在籍している人や所長の経営方針・人柄に惹かれて務めている従業員にとって、所長の交代は不安や危機感を持つものであり、転職を考えるきっかけにもなりかねません。

  • 所長が変わっても待遇に変化はないこと
  • 事務所の方針や雰囲気も引き継がれる予定であること
  • 新所長は信頼関係が構築できる相手である

こうしたことを伝えるために、これまで以上に質の高いコミュニケーションを心掛けていきましょう。そうすれば、大切な従業員を不安にさせず、引き続き事務所で活躍してもらえるでしょう。

税理士の後継者募集に関するQ&A

当協会が35年以上にわたり税理士事務所のM&A支援を行ってきた経験から、後継者募集をご検討中の先生方からよくいただくご質問をまとめました。

後継者が決まった後、引き継ぎ期間はどのくらい必要ですか?

円満な承継のためには約3年間かけたソフトランディングをお勧めしています。当協会の経験では、1年目は所長として在籍しながら業務を引き継ぎ、2年目は非常勤として週2~3日の出勤に減らして徐々に依存度を下げ、3年目には「顧問」などの役職に就いて一歩下がった立場へ移行する流れが理想的です。

後継者募集やM&Aの相談を始める最適なタイミングはいつですか?

税理士事務所のM&Aでは、納得のいく統合先を探し出すためにおよそ3か月~半年はかける必要があります。その後、前述の3年間の引き継ぎ期間を考慮すると、相談時期は引退ゴールの3年半前が望ましいといえます。

後継者募集やM&Aを進める際、家族の同意は必要ですか?

ご家族、特に奥様の同意を事前に得ておくことを強くお勧めします。税理士事務所では、奥様が専従者として事務所のお手伝いをしているケースも多くあります。当協会の支援経験では、M&Aの話がかなり具体的に進んでいたにもかかわらず、最終的に奥様に反対されて実現しなかったケースもありました。

まとめ

税理士の高齢化が進む中、後継者問題は多くの事務所にとって喫緊の課題です。後継者は税理士資格の保有が必須であり、かつ経営者としての資質も求められるため、適任者を見つけることは容易ではありません。

解決方法としては「後継者募集」「内部育成」「M&A」「廃業」の4つがあります。当協会の経験では、時間をかけて育成できる事務所は後継者募集が向いており、時間がない場合や個人への依存リスクを避けたい場合はM&Aが有効です。

いずれの方法を選ぶにしても、円満な承継には約3年間のソフトランディングが必要です。相談開始は引退ゴールの3年半前が理想であり、「まだ早い」と思う段階から準備を始めることが成功の鍵となります。

事業承継や後継者についてお悩みであれば、士業事務所M&A支援協会にお問い合わせください。35年以上、士業事務所とその関与先である企業様を支援してきた圧倒的な実績と経験で解決へ導きます。

即時対応
資料ダウンロードはこちら
24時間受付
WEBでの相談はこちら