税理士事務所の後継者がいないなら、後継者募集がオススメ

税理士事務所の引継ぎ人材なら「後継立候補者募集」~後継者を外部採用する流れ

税理士事務所の事業承継後継者問題、その解決方法としての税理士事務所の後継者募集を解説していきます。

長年にわたって築き上げた実績や人脈も、税理士事務所に後継者が居ないと引き継ぐことができません。ところが昨今では多くの税理士事務所で後継者の不在が問題になってきています。税理士事務所の事業承継が難しくなり、今後の事務所をどうするべきか悩んでいる税理士の方が増えているのです。

税理士事務所が後継者を募集する背景

近年、多くの税理士事務所が後継者不足に悩む背景にあるのが「後継者問題」です。
税理士事務所に後継者が見つからない事が多く、廃業を選択してしまうことが増えています。

後継者問題には「少子高齢化など社会的な問題」や、「税理士事務所の専門化や大規模化など形態の変化」、「後継者候補となる人材雇用の難しさ」、「大手税理士事務所の存在」など、いくつかの理由があります。

税理士事務所が後継者を募集して成功した事例

年収が大幅に上がった事例

後継者として外部から税理士を採用して後継者側の年収が大きく上がった事例です。後継者の年収向上を意識しており、最初は比較的少ない年収からスタートしました。後継者が業績を上げられる環境を整え、顧客との関係構築や事務所内の運営管理を任せ、後継者にしっかりと責任を持たせることで、業績が順調に伸びました。

この結果、税理士事務所に勤務していたときの年収は450万でしたが、3年で1200万まで増加しました。後継者は、「これほどの年収を得られるとは思わなかった。」と驚きながらも、やりがいを感じつつ、「事務所と自身の成長を実感できる」と満足されています。

独立の際の満足感

後継者募集で迎えた税理士が、後継者として経営に成功した事例です。
後継者には十分なサポートと経営ノウハウを提供し、数年間にわたり徐々に責任を引き継がせていきました。顧客や従業員との信頼関係が築かれるにつれて、収入は着実に増加していきました。

その後は事務所の経営を継続し、見事に独立を果たしました。雇われだった税理士時代と比較して、元経営者や現従業員のサポートもあり、安定した顧客基盤と事務所の経営ノウハウを活かせたことにより収入は倍増。独立した際の感想として、「最初は不安だったが、経営者から直接すべてを教えてもらえることで、経営者としての経験やノウハウが確実に身につき、それらは自信と結果につながりました。独立後は以前よりも大きな自由度を感じている。」と良い感想をいただきました。

新しいチャンスを得た事例

後継者として採用された税理士が、事務所の規模拡大とともに新たなチャンスを手に入れた事例です。
業務の引き継ぎに加えて、新規顧客の開拓や事務所のブランディングにも注力しました。事業を譲渡するというタイミングで新しい取り組みを行いました。この改革のチャンスを活かして、事務所と後継者は数年間で大きな成長を遂げ、売上・年収は大きく増加しました。

後継者は、年収が上がっただけでなく、自らの技量を活かせるチャンスを得られました。その結果、自身の施策で顧客を獲得したことで、自信とやりがいを感じられ「事務所のブランドを強化するプロジェクトにも携わり、税理士としてのスキル向上に加え、経営者としての経験も積むことができた。」と、満足されています。

税理士事務所の後継者問題とは?

少子高齢化など社会的な問題

かつては子どもがそのまま事務所を受け継ぐなど、親族間承継が多かった税理士業界ですが、少子化で子どもがいなかったり、後継者候補となる若い世代が少ない、資格取得をしておらず後継者になれなかったりなどの問題があります。加えて、親の事務所を受け継ぐことが当たり前という考え方もなくなり、多様性を尊重する時代となりました。

下記は税理士の年齢層を表したものです。50歳以上の割合が半数を超えていることが分かります。後継者として若い世代を対象にしたとき、20歳代~30歳代においては14%しかいないのです。

年齢層割合
20歳代1%
30歳代13%
40歳代30%
50歳代18%
60歳代17%
70歳代10%
80歳代11%
合計100%
税理士年齢(出典:日本税理士連合会『第6回税理士実態調査』(平成26年1月1日現在、32,747人対象)より作成)

税理士事務所の大規模化や専門化など形態の変化

税理士事務所のほとんどは個人事業主ですが、近年では登録税理士を複数雇用する税理士法人や、専門的な依頼を積極的に受ける税理士事務所が増えるなど、変化してきています。そうすると知識やスキルがさらに高度になり、後継者を探すのはより困難になります。

後継者候補となる人材雇用の難しさ

後継者候補として人材を雇用し育成していくという方法もありますが、せっかく育成しても突然辞職してしまったり、若手の後継者候補は大手に集まってしまったりなど、採用も難しくなっています。特に地方の税理士事務所ではより採用が困難なのではないでしょうか。

大手税理士事務所の存在

最後に大手税理士事務所の存在です。こちらも大きな原因のひとつで、大手税理士事務所がマーケットを牛耳るようになってくると、中小の事務所には人が集まらなくなってしまいます。
大手税理士事務所に顧客が流れていくと、中小の顧客は目減りしてしまって待遇や給与にも影響が出始めます。そうなってくると税理士資格を持った人材を集めづらくなります。逆に大手は人材を集めやすくなり、さらに事業を拡大していきます。
この流れが長く続くと、大手事務所が莫大な資金と人材を持って全国各地に店舗を構えるようになってきます。
そこで中小の税理士事務所では、人材不足による後継者の問題が発生してしまうのです。

後継者問題の重要性

後継者不足により、事務所が存続できなくなるということが最も危惧される事態です。
廃業を選択してしまうと、それまで培ってきた事績や人脈もなくなってしまいます。また、従業員の処遇についても配慮が必要になってきます。

立地やブランド、技術や実績、人柄や対応、コストやパフォーマンスなど事務所によって特徴があり、どこにも同じ事務所は存在しません。
幾多もある税理士事務所の中からお客様に選ばれた事務所が、ただ「後継者がいない」という一つの問題で「廃業」となってしまうのは非常に悲しい事です。

これは税理士事務所にとっても非常に重要ですが、お客様にとっても大事件です。
いままで任せしてきた税理士事務所が廃業すると、「次の税理士事務所ではよくしてくれるだろうか」という不安を抱えて、新たに税理士事務所を探さなければなりません。

後継者問題は、所長・従業員・顧客などにも大きな影響を及ぼします。

税理士事務所に後継者がいない時の対処方法

税理士事務所に後継者がいない時の対処方法

税理士事務所に後継者が居ないときの対処方法は4つです。

後継者が居ないときの対処方法


税理士事務所が存続するものとしては以下の3つ。そして最後の選択肢として、税理士事務所の廃止が1つ。

  • 税理士事務所の後継者を募集する(外部)
  • 税理士事務所で後継者を育てる(内部)
  • 税理士事務所を売却(M&A)する
  • 税理士事務所を廃業する

それぞれの対処方法のやり方とメリット・デメリットを順番に解説していきます。

①税理士事務所の後継者を募集する(外部)

既存社員の中で後継者候補が居ない場合には外部の人材を募集する手段があります。
税理士事務所や会計事務所でも後継者募集を行うことはよくあります。
そのために弊社では後継者募集のサポートを執り行っていますので、お気軽にご相談ください。

やり方

弊社が運営する後継者の募集活動をサポートするサイトに登録する。(https://www.accs-c.co.jp/ma/accounting/

お問い合わせ ➡ 初回相談 ➡ 募集活動 ➡ 選考 ➡ 入社 ➡ 引き継ぎ

メリット
  • 顧問先に安心してもらえる
  • 職員の雇用を守れる
  • 所長の経営手法を直に承継できる
  • 元所長自身が業務を続けることも出来る
  • すでに経営の知識や技術を持った人材を選択できる
  • 事務所の後継者として確固たる意思を持っている
  • 職員からの信頼を±0からスタートできる
デメリット
  • 希望に叶う相手が現れるまでに時間がかかるケースが多い
  • 面接時に意思や能力を見極めるのが難しい
  • 相性が合わないと独立されてしまう恐れがある

②税理士事務所で後継者を育てる(内部)

やり方

既存の税理士資格を保有している社員であり、職員からの信頼のある人材を見繕って事務所の引き継ぎを前提に育てる。
所属税理士の業務とは大きく異なる「経営者」としての部分を学ぶ必要がある。
経営学やマーケティング、WEBや市場調査など引き継ぎの項目は非常に幅広い。

メリット
  • 顧問先に安心してもらえる
  • 職員の雇用を守れる
  • 所長の経営手法を直に承継できる
  • 元所長自身が業務を続けることも出来る
  • 職場への理解がある
  • 職員からの信頼がある
デメリット
  • 年齢や適性が合致せず、後継者としての人材がそもそも居ない場合もある
  • 若年の人材が居ても育成に非常に時間がかかる
  • 期待通りに育ってくれない可能性がある
  • 相性が合わないと独立されてしまう恐れがある

③税理士事務所を売却(M&A)する

税理士事務所の後継者を探すのではなく、事務所そのものを売却(譲渡)する手段もあります。
いわゆるM&Aです。弊社では後継者募集サポートの他、M&Aの案件も取り扱っております。
売却(譲渡)したい先生方、買収(譲受)したい先生方に向けて案件情報も公開しており、ご希望に沿う案件とマッチングするまで専門スタッフが全力でサポートいたします。

やり方

弊社が運営するM&Aをサポートするサイトに登録する。(https://www.accs-c.co.jp/ma/accounting/

お問い合わせ ➡ 初回相談 ➡ アドバイザリー契約 ➡ 資料収集 ➡ 事務所評価の算定 ➡ ノンネームの作成・面談 ➡ 協議 ➡ 基本合意契約 ➡ 実態調査 ➡ 最終条件の協議 ➡ 譲渡契約 ➡ 引き継ぎ業務の開始

メリット
  • 廃業せずに後継者問題を解決できる
  • 職場の環境を変えずに引退できる
  • 経営を任せて別事業に専念できる
  • 後継者募集や後継者育成よりもマッチングしやすい
  • 現金化もしくは新株式などが取得できる
デメリット
  • 後継者候補からの選定と比較すると手続きに時間がかかる
  • 運営母体が変わることから顧客や取引先との契約にも影響がでやすい
  • 手数料がかかる

④税理士事務所を廃業する

廃業は最後の選択肢です。
従業員や顧客に大きな影響を与えることになるので、可能な限り後継者やM&Aといった手段で事務所を存続させることが望ましいです。

やり方

個人事業主と法人とで方法が大きく異なります。
個人事業であれば、下記の書類を提出することで廃業となります。

  • 個人事業の廃業等届出書
  • 消費税の廃業等届出書の提出
  • 給与支払事務所の廃止届出書の提出
  • 青色申告の取りやめ届出書の提出

法人に関してはこちらで解説すると非常に長くなってしまうので割愛します。

メリット
  • 後継者やM&Aのようにマッチングを待つ必要がない
  • 手数料がかからない
デメリット
  • 従業員のフォローが必要になる
  • 取引先のフォローが必要になる
  • 資産処理が必要になる
  • 廃業費用が必要になることがある

おすすめは後継者募集!

税理士事務所に後継者が居ない時の選択肢でオススメは後継者募集です。

廃業の選択

非常に多くの関係者に大きな影響を与えてしまいます。

M&Aの選択

運営母体が変わってしまう事から、経営方針の変更などで取引先や従業員の扱いが変わる可能性があります。

後継者育成

時間がかかる上に思ったように育たない可能性もあります。更に経営を学んだ先で独立されてしまうかもしれません。

後継者募集

比較的時間もかからず、従業員や取引先への影響も少なく、後継者として立候補したという確固たる意志があるので安心です。

このような理由から、後継者募集がオススメです。

求人により外部から後継者を採用する方法は?費用はかかる?

一般的な人材紹介会社では、募集の希望として「事務所の後継者候補として」という条件は付けられても、どういう人材が応募してくるのか、採用後に希望に沿わない人材かもしれないなどの不安が残ります。そこで有効なのが、税理士専門の後継者紹介サービスです。

税理士業界に精通した専門の後継者紹介サービスなら、求人側・求職側のそれぞれ希望を具体的に聞き出し、双方の希望に沿った相手を紹介することができます。事務所の経営方針を引き継ぎつつ、これまで以上に発展させてくれる後継者を見つけるためには、このような専門の後継者紹介サービスの利用が有効と言えるでしょう。

税理士後継者紹介サービスの流れは以下になります(以下は一例)。

STEP
紹介サービス企業にて候補者の募集(人材や情報の確保)

依頼ごとの応募者を募るのではなく、事前に将来的な独立や事務所承継を希望する人材を募ります。

STEP
人材リストの作成

登録している人材の経歴・希望などをリスト化し、本人の承認を前提に公開。

STEP
人材を募集している事務所名の公開
STEP
求人側・求職側のマッチング
STEP
基本合意書・雇用契約(雇用委託)

承継を前提とした協議のうえ、必要に応じた書類の作成も実施。雇用形態や条件も明確にします。

STEP
手数料

雇用契約に至った場合、紹介サービス企業が定める一定の手数料を支払います。
事務所の規模や募集人材の難易度などによって上下しますが、一般的には0円~100万程度でしょう。

士業専門のコンサルティング会社が行う後継者探しの支援

アックスコンサルティングでは、35年以上、士業事務所とその関与先である企業の皆様のご支援を続けている中、税理士の後継者問題を解決するために発足したのが、税理士事務所の後継者募集です。

後継者のいない税理士事務所で後継者候補として働くことを希望する若手税理士の先生たちを募集し登録してもらい、希望に応じて事務所の紹介を行っています。

<後継者募集の流れ> 

STEP
問い合わせ

後継者候補として働くことを希望する人材が電話・お問い合わせフォームより連絡。その後、専門のコンサルタントより返答。

STEP
事前登録(エントリー)

年齢や住所、職歴経歴など、具体的な内容を会計事務所M&A支援協会に登録。

STEP
募集事務所のご紹介

登録・希望内容から合う事務所をリストアップし、登録者へ紹介。

STEP
面接・選考

検討後、求人側、求職側ともに進めたいという場合は面接などの日程を調整し、選考を開始します。

STEP
内定・入社

勤務条件を協議し、双方が合意に至れば最終の条件を確定し、内定・入社になります。
場合によって、会計事務所M&A支援協会が代わりに交渉を行う場合もあります。

こうした仕組みを利用することで、後継者不足に悩む事務所側は将来の後継者候補を獲得することができます。将来的な独立や事務所承継を望んでいる若手税理士にはリスクの少ない独立への挑戦が可能になります。

他にもメリットがあります。

  • 現所長に引き継ぎをしてもらえれば経営に関する実務を積むことができ、急速にスキルアップできる
  • 後継者になれば既存の顧客や経験のある従業員など、安定した経営基盤を基に事務所経営をスタートできる

などメリットが多いため、一般的な募集で探すよりも互いの要望に合う後継者を探しやすくなります。

後継者を外部採用する際に注意すべきことは?

外部から後継者を迎えられることになれば、事務所も継続でき安堵することでしょう。しかし、注意しなくてはいけないこともあります。

子どもや親族など、長いつきあいのある相手ではない分、慎重にならざるをえない部分もあるのです。

求人側の注意点
  • 後継者の考えが現在の方針に沿わない、承継後に変化してしまう可能性がある
  • 従業員や顧客へのサービスをしっかりと引き継いでもらうために綿密な引き継ぎが必要
  • 事務所が培ってきた風土や文化まで承継してもらえるかという不安が残る
求職側の注意点
  • 事務所の方針や現所長の考え方によって、結果として後継者になれない可能性もある
  • 事務所の方針や現所長の考え方によって、結果として後継者になれない可能性もある
  • 事務所や現所長の方針が優先される場合がある

こうした双方の不安やリスクを最小限にするためにも、税理士業界に詳しい第三者を介することは大変効果的です。

特に経験豊富な専門家に相談することで、将来的なトラブルまで見据えた話し合いができます。

承継後のフォローまでしっかりと

後継者候補を応募・採用したらそれで後継者問題が解決するわけではありません。

承継後にこれまでの事務所と同じように業務が進んでいるか、経営は安定しそうか、従業員の不満はないか、ほかにも多種多様な確認が必要です。

そのためには承継後のフォロー項目や手順まで事前に知っておくようにしましょう。

これまで依頼してくれていたクライアントや関係各社とは業務はもちろん、長年培ってきた信頼関係で結ばれています。だからこそ、事務所が世代交代した後もその関係を続けられるようにしていかなくてはなりません。

顧客への通達

現所長が在籍中から、今後の事務所の変化や新所長候補について伝え、よい印象を与えられるようにすれば、顧客が離れていくのを防ぐことができます。以下のような点を意識して伝えられれば、事業承継後も変わらずに関係を続けていけるでしょう。

  • 所長税理士が変わった後もこれまでと同じサポートが受けられる
  • 前所長と同じ考えを持ち、信頼できる
  • 相性がよく、今後の自社を任せたいと思える
従業員への通達

次に気を付けなくてはならないのが、既存従業員との関係性です。重要なのは、不安感をぬぐうことです。長く在籍している人や所長の経営方針・人柄に惹かれて務めている従業員にとって、所長の交代は不安や危機感を持つものであり、転職を考えるきっかけにもなりかねません。

  • 所長が変わっても待遇に変化はないこと
  • 事務所の方針や雰囲気も引き継がれる予定であること
  • 新所長は信頼関係が構築できる相手である

こうしたことを伝えるために、これまで以上に質の高いコミュニケーションを心掛けていきましょう。そうすれば、大切な従業員を不安にさせず、引き続き事務所で活躍してもらえるでしょう。

まとめ

後継者不足の問題は、多くの税理士事務所にとって課題になっており、解決方法のオススメは税理士事務所の後継者募集です。

事務所を引き継いでくれる後継者を探すのは、そう簡単なことではありません。現所長と新所長候補の個人間の相性も大切になりますし、自身で築いてきた事務所の歴史にも思い入れがあり、大切にしてくれる人材に継いでほしいと考えるでしょう。

若い世代に承継するということは、ある程度の世代間のギャップは、多少なりとも出てくるはずです。

そうした理想と現実をしっかりと見つめ、後継者候補として迎えるにふさわしい人材を専門家の協力のもと探し、自分が在籍中に育てていけるような計画を立てる必要があります。

事業承継や後継者についてお悩みであれば、アックスコンサルティングにお問い合わせください。35年以上、士業事務所とその関与先である企業様を支援してきた圧倒的な実績と経験で解決へ導きます。