税理士の平均年齢は何歳?高齢化が進む理由と後継者不在への備え方

税理士の平均年齢は何歳?高齢化が進む理由と後継者不在への備え方

日本税理士会連合会が公表した第6回税理士実態調査の年齢構成データによると、60代以上の税理士は全体の54.2%を占めており、平均年齢は60歳前後です。

一方、若手にあたる20代・30代はわずか約11%にとどまり、世代交代は進んでいません。

後継者不足は「将来の予測」ではなく、すでに現実化している課題です。

事務所と顧問先の未来を守るには、早い段階からの備えが欠かせません。

本記事では、税理士の年齢構成データをもとに、高齢化の原因と経営への影響、事務所を存続させるための具体的な選択肢を解説します。

この記事でわかること
  • 税理士の年齢層データと60代以上が54.2%・20代はわずか0.6%の現状
  • 税理士の高齢化が進む3つの理由と約17,500事務所が後継者を確保できない実情
  • 税理士事務所のM&Aで約9割の所長が業務を継続している実態と準備のポイント
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業界の現状を知ることが、事務所の将来を考えるきっかけになります。

目次
  1. 税理士の平均年齢はどのくらいなのか
    1. 税理士の年齢層で最も多いのは60代で全体の30.1%
    2. 20代・30代の若手税理士は全体の約11%にとどまる
    3. 税理士の登録者数は約8万人だが増加ペースは鈍化
  2. 税理士業界で高齢化が進んでいる3つの理由
    1. 定年がなく生涯現役で活躍できる資格特性
    2. 税理士試験の受験者数が長期的に減少している
    3. 有能な資格者ほど独立を志向する傾向
  3. 高齢化が税理士事務所の経営に与える影響
    1. 後継者不在による廃業リスクの顕在化
    2. 若手有資格者の採用競争の激化
    3. 顧問先のニーズ変化とDX対応への負荷
  4. 今後の税理士業界はどうなっていくのか
    1. 2025年問題を経て事務所の統廃合が加速する
    2. 「個人の力」から「組織の総合力」が問われる時代に
    3. 「衰退期の前」に動けるかが事務所の未来を決める
  5. 事務所を存続させるための選択肢を比較する
    1. 親族・職員への事業承継は「資格」と「経営力」がハードル
    2. 有資格者の新規採用は時間とリスクが伴う
    3. 第三者承継(M&A)は職員と顧問先を守る「攻めの選択」
    4. M&A後も約9割の所長が何らかの形で事務所に関わっている
    5. 士業事務所のM&A事例集19人の所長と職員の本音に迫る
    6. 資料ダウンロード
  6. 将来を見据えて今から考えておきたいこと
    1. 「何かあってから」では手遅れになる事業承継
    2. 3年〜5年前からの準備が「納得のいく承継」をつくる
    3. まずは事務所の現状を客観的に把握するところから
  7. まとめ|税理士業界は平均年齢が高い

税理士の平均年齢はどのくらいなのか

60代以上が54.2%を占める税理士業界は、他の士業と比べても高齢層への偏りが顕著です。

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ここでは、日本税理士会連合会のデータをもとに、年齢構成の実態を解説します。

税理士の年齢層で最も多いのは60代で全体の30.1%

日本税理士会連合会が公表した第6回税理士実態調査の年齢構成データによると、60代以上の税理士は全体の54.2%を占めています

年齢層割合人数
20代0.6%187人
30代10.3%3,358人
40代17.1%5,599人
50代17.8%5,817人
60代30.1%9,868人
70代13.3%4,343人
80代以上10.8%3,575人

税理士の年齢構成を見ると、60代が9,868人と全年齢層で最多です。40代・50代はそれぞれ17%台にとどまり、中堅層の厚みが不足しています。

さらに、税理士には定年制度がないため、70代以上の登録者も約7,900人にのぼります。

「平均年齢」は公式に発表されていませんが、この構成比をもとに算出すると60歳前後です。

こうした数字は、自事務所の将来設計を見直す際の重要な判断材料です。

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年齢構成の数字は、自事務所の将来を考える際の基礎データになります。

20代・30代の若手税理士は全体の約11%にとどまる

税理士業界の年齢ピラミッドは、若手層が極端に薄い逆三角形です。

20代はわずか0.6%、30代を加えても合計10.9%にとどまり、10人に1人しか若手がいない計算になります。

世代割合
若手(20〜30代)10.9%
中堅(40〜50代)34.9%
シニア(60代以上)54.2%

シニア層と若手層には約5倍の開きがあり、世代間の偏りは顕著です。

この偏りには、制度面な要因もあります。一定の要件を満たした国税従事者に対しては、税理士試験の一部免除制度が設けられています。

たとえば、10年または15年以上の勤務で税法科目、23年または28年以上の勤務かつ指定研修修了で会計学科目が免除されます。(退職した税務職員には、離職後1年間の業務制限があります)

制度を利用した登録者は50代〜60代が中心のため、若手の増加にはつながりません。

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若手の少なさは、後継者探しの難しさに直結しています。

税理士の登録者数は約8万人だが増加ペースは鈍化

税理士の登録者数は2024年度末で81,696人と過去最多水準にある一方、前年度末からの増加は416人にとどまっており、増加ペースの鈍化が鮮明になっています。

総登録者数は令和8年2月末時点で82,451人と微増を続けていますが、内実は大きく変化しています。

指標数値
総登録者数(令和8年2月末)82,451人
1990年代の年間純増数約1万人
2024年度の年間純増数416人
年間の登録抹消者数約2,000人

出典:日本税理士会連合会「税理士登録者・税理士法人届出数

登録を抹消する税理士は毎年約2,000人で推移しており、純増数が縮小した主因は新規登録者の減少です。

若い世代の参入が鈍ることで高齢層の構成比は下がらず、総数こそ微増でも世代交代が進まない縮小均衡の状態に入っています。

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純増数の推移は、事務所の採用戦略を考えるうえで欠かせない基礎データです。

税理士業界で高齢化が進んでいる3つの理由

税理士の平均年齢が60歳前後にまで上昇した要因を知ることで、事務所の将来に向けた備えが見えてきます。

高齢化が進む主な要因は、「定年のない資格制度」「試験受験者の長期的な減少」「独立志向の強さ」の3つです。

これらが重なり合い、業界全体で高齢化に歯止めがかからない状況となっています。

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ここでは、税理士の平均年齢が上昇している構造的な理由を解説します。

定年がなく生涯現役で活躍できる資格特性

税理士業界の高齢化を加速させている大きな要因は、「引退時期の先送り」です。

税理士は独占業務を担う国家資格であり、知識と経験の蓄積がそのまま顧問先への付加価値につながります。

年齢を重ねるほど専門性が深まり、顧問先との信頼関係も強固になるため、70代・80代でも現役を続ける所長は多くいます。

しかし、現場実務を好む所長ほど目の前の業務に没頭しがちです。

後継者について考える機会がないまま年数だけが過ぎ、引退を意識した頃には所内に後継者となる有資格者がいない事態も起きています

「まだ大丈夫」という感覚が課題の先送りを生み、業界全体の平均年齢を押し上げる構造につながっています。

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定年のない資格だからこそ、「いつまで続けるか」を早い段階で意識しておく必要があります。

税理士試験の受験者数が長期的に減少している

税理士試験の受験者数は減少傾向にあり、若手の参入が鈍っています。

実受験者数は2010年度の51,468人から2023年度には32,893人へと、13年間で37%減少しました。

年度実受験者数
2010年度51,468人
2023年度32,893人
令和7年度36,320人

受験者が減っている背景には、試験の難易度があります。

長期にわたって受験を続ける人も多く、若手の参入ハードルの一因になっています。

2025年度は受験者数が36,320人に持ち直しましたが、合格者数は527人と前年から51人減少しました。

受験者が一時的に回復しても、合格者が増えなければ世代交代は進みません。

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受験者の減少は、後継者候補の「母数」そのものが縮小していることを意味します。

有能な資格者ほど独立を志向する傾向

税理士業界で事業承継が難しい背景には、「独立志向の強さ」と「後継者適性の壁」の2つがあります。

税理士登録数全体のうち約7割が、個人事務所の所長として活動しているとされ、結果として開業を選ぶ先生が多数派であることは、後継者不足を考えるうえでも重要な前提です。

後継者候補として育てた職員でも、顧問先との関係を築いた段階で独立に踏み切るケースは少なくありません。

数年かけた育成の労力と一部の顧問先を同時に失う事態は、事務所にとって大きな痛手です。

一方、独立を選ばなかった有資格者が後継者に適しているとも限りません。

後継者には税務の専門知識に加え、マネジメント力や営業力といった経営者としての素養も求められるためです。

課題内容
独立志向育成した有資格者が独立し、顧問先ごと離れてしまうリスクがある
経営者適性税務スキルだけでは事務所経営は務まらず、経営力やマネジメント力も求められる
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後継者選びは「資格」だけでなく「経営力」まで含めた判断が必要です。

高齢化が税理士事務所の経営に与える影響

税理士の平均年齢が60歳前後まで上昇している業界では、事務所経営に大きな変化が生まれています。

その変化を理解しておくことで、自事務所のリスクにも早めに備えられます。

廃業リスクの顕在化や若手人材の採用難、DX対応の遅れなど、高齢化の影響は事務所運営の幅広い領域に及びます。

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ここでは、高齢化が税理士事務所の経営に与える影響を解説します。

後継者不在による廃業リスクの顕在化

税理士業界は、後継者の「数」が圧倒的に足りていません。

税理士全体の約7割にあたる55,847人が個人事務所の所長として活動しています。一方、承継先になり得る社員税理士は12,799人にとどまります。

指標数値
個人事務所の所長人数55,847人(全体の69.2%)
60代以上の個人事務所数30,269事務所
社員税理士の人数12,799人

60代以上の事務所だけで30,269にのぼり、社員税理士が一人ずつ就いても約17,500の事務所で後継者が不在になる計算です。

承継先の不足は、所長に万が一のことがあった際、職員と顧問先の双方に大きな影響を及ぼします。

実際に、確定申告の繁忙期に所長が倒れた事例では、M&Aで引き継ぎは実現したものの、職員は見通しの立たないまま新たな環境への移行を迫られました。

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承継の準備は、先送りにできない経営課題です。

若手有資格者の採用競争の激化

税理士業界でも民間企業と同様に、大手税理士法人と個人事務所の間には、人材を引きつける力に大きな差があります。

項目大手税理士法人個人事務所
待遇・福利厚生社会保険・研修制度が充実所長の裁量に依存しやすい
ブランド力知名度が高く求職者が集まる認知度が限られる
キャリアパス専門分野を選べる環境がある業務範囲が限定されやすい

条件面で勝る大手に人材が集中する傾向は強まっており、個人事務所が同じ土俵で競うのは困難です。加えて、若手有資格者の母数自体が限られているため、採用市場での競争はさらに厳しさを増しています。

所長が引退時期を見据えている事務所では、入所した人材に長期的なキャリアを示しにくい点も不利に働きます。

採用だけで後継者不足を解消するのは難しく、承継の手段を幅広く検討する段階に入っています。

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個人事務所が不利な状況だからこそ、早い段階からの情報収集と準備が重要です。

顧問先のニーズ変化とDX対応への負荷

インボイス制度や電子帳簿保存法の施行により、税理士事務所のデジタル化は「選択」ではなく「必須」の段階に入りました

顧問先企業では経営者の世代交代が進み、クラウド会計やオンラインでのやり取りを前提とする依頼主が増えています。

従来のやり方を続けていると「時代に合わない」と判断され、契約の見直しにつながるリスクがあります。

さらに、依頼主が事務所に求める内容も変化しています。

税務申告だけでなく、相続・事業承継・資金調達といった経営全般のサポートを期待されるケースが増えました。

課題内容
デジタル対応クラウド会計や電子申告などに対応するため、IT環境の整備が不可欠
対応領域の拡大税務申告にとどまらず、経営支援やコンサルティングなど幅広い支援への対応が求められる

これら2つの変化を同時に担う負荷は、所長一人で抱えるには大きすぎます。

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顧問先の期待に応え続けるためにも、事務所体制の見直しは早めに着手すべき課題です。

今後の税理士業界はどうなっていくのか

税理士の平均年齢が60歳前後に達している業界では、今後5〜10年で事務所の統廃合が加速すると見られています。

これまでの「個人の力に依存した経営」から、組織としての総合力が問われる時代へと、業界構造そのものが変化しつつあります。

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ここからは、今後の業界動向と、税理士事務所が備えておくべきポイントを解説します。

2025年問題を経て事務所の統廃合が加速する

今後5〜10年の間に、高齢化した個人事務所の統廃合が加速する可能性が高まっています。

全産業の社長の平均年齢は60.7歳を記録し、34年連続で過去最高を更新しました。

団塊世代が全員75歳以上となる「2025年問題」を迎え、経営者の病気や死亡による倒産も増加傾向にあります。

税理士業界も例外ではなく、所長の健康問題による突然の閉鎖や引退が起きた場合、後継者のいない事務所は廃業を選ばざるを得なくなります。

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統廃合の波を「危機」と捉えるか「機会」と捉えるかで、事務所の将来は大きく変わります。

「個人の力」から「組織の総合力」が問われる時代に

顧問先のニーズが広がるなか、税理士事務所の法人化が事務所存続の有力な選択肢として注目されています。

顧問先のニーズ個人事務所組織化された事務所
経営コンサルティング所長の専門外は対応が難しい分野ごとに担当を分けられる
事業承継・相続外部への依頼が必要になりやすい法人内で連携して対応できる
資金調達支援対応範囲が限られる複数の専門家で支援できる

経営・相続・資金調達まで広がる顧問先の期待に、所長一人で応え続けるのは現実的ではありません。

複数の税理士が専門分野を分担する体制であれば、対応できるサービスの幅が広がり、所長の不在時にも業務を止めずにフォローできる点は、事務所の安定運営にも直結します。

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法人化を含めた経営体制の見直しは、事務所の将来を左右する重要な判断です。

「衰退期の前」に動けるかが事務所の未来を決める

税理士事務所の承継は、事業のライフサイクルのどの段階で着手するかが成否を分けます。

事務所には創業期・成長期・成熟期・衰退期の流れがあり、多くの事務所は現在、安定した成熟期に位置しています。

事務所のライフサイクル承継の条件・傾向
成長期事務所価値が高く、最も有利な条件を引き出しやすい
成熟期顧問先・売上が安定しており、比較的スムーズに承継しやすい
衰退期顧問先減少などにより評価が下がり、承継条件が厳しくなる

業績が好調なうちは承継先の候補も多く、好条件での引き継ぎが実現しやすい段階です。

しかし、売上がピーク時の80%を下回ると交渉の難度は上がり、引き受け手の選択肢も狭まります

「売上が少し下がってきた」と感じた時点で、すでにピークから大きく離れているケースも少なくありません。

数字に余裕がある成熟期のうちに方向性を定めておくことが、将来の選択肢を広く保つ鍵です。

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ライフサイクルの視点を持つだけで、判断の質が変わります。

事務所を存続させるための選択肢を比較する

税理士事務所の承継方法は大きく3つあり、平均年齢が高い業界だからこそ、早い段階で選択肢を把握しておくことが重要です。

親族・職員への内部承継、外部からの後継者採用、M&A(第三者承継)など、手法ごとに特徴や条件面の強みが異なります。

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ここからは、それぞれの承継方法の特徴と、M&A後の所長の働き方について解説します。

親族・職員への事業承継は「資格」と「経営力」がハードル

身近に後継者候補がいても、内部承継が計画どおり実現するとは限りません。主な承継方法には親族承継と職員承継がありますが、それぞれに固有の課題があります。

親族承継の場合は、所長の子どもに継がせたい場合でも、税理士試験の合格には平均8〜10年を要します。

本人の意思や適性が合わなければ、資格取得の段階で断念に至るケースもあります。

職員への承継は、事務所の文化や業務を熟知した人材に引き継げるため、関係者の納得を得やすい点が強みです。

しかし、税務の実務スキルと事務所経営に必要な力は別の問題です。

承継方法強み主な課題
親族承継所長の価値観や経営方針を引き継ぎやすい。税理士資格の取得に時間がかかる(8〜10年)うえ、本人の意思や適性が不確実。
職員承継業務や顧問先を熟知しており、事務所運営を継続しやすい。経営判断やマネジメント能力を計画的に育成する必要がある。

有資格者の確保と育成を同時に進める負担は大きく、内部承継の壁は想像以上に高いのが現実です。

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内部承継だけにこだわらず、複数の選択肢を比較検討する視点が欠かせません。

有資格者の新規採用は時間とリスクが伴う

外部から後継者候補を迎える方法には、時間・コスト・リスクの3つの課題があります。

業務の引き継ぎまでには3〜5年の期間が必要で、事務所の実務を一から把握し、顧問先との信頼関係を築く工程は省けません。

採用費用に加え、研修や指導にかかる人件費も長期にわたる負担です。

さらに、育成途中で独立を選ばれた場合、担当先の一部と売上を同時に失うリスクがあります。

項目内容
時間引き継ぎまでに3〜5年程度の準備期間が必要
コスト採用費・研修費・指導にかかる人件費が長期間発生する
リスク独立によって人材と顧問先が同時に流出する可能性がある

数年分の投資が回収できないまま計画が白紙に戻れば、一からやり直す以外に道はありません。

外部採用だけに頼らず、複数の承継手段を並行して検討しておく必要があります。

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採用と育成にかかる年数を把握しておくと、判断に余裕が生まれます。

第三者承継(M&A)は職員と顧問先を守る「攻めの選択」

承継手法を比較すると、M&A(第三者承継)は環境維持・創業者利益・関係者の納得・成長性の4項目でバランスの取れた評価です。

手法環境維持創業者利益関係者の納得成長性
親族承継
社員・職員承継
後継者募集
M&A
廃業×××

M&Aの強みは、成長性と創業者利益の両面で他の手法を上回る点にあります。

職員の全員雇用を前提とした交渉が行われるため、事務所のチーム体制をそのまま維持できます。顧問先へのサービス継続も原則として確保されており、引き継ぎに伴う不安を抑えやすい仕組みです。

また、M&A後も所長が業務に関わり続けるケースが多く、「売って終わり」ではない点も特徴です。

M&Aは事務所を「手放す」行為ではなく、職員と顧問先を守りながら次の成長につなげる選択肢です。

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まずは比較表をもとに、自事務所に合う承継方法を検討してみてください。

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M&A後も約9割の所長が何らかの形で事務所に関わっている

税理士事務所のM&Aでは、「すぐに引退しなければならない」わけではありません。

士業事務所M&A支援協会の成約実績では、約88%の所長が譲渡後も業務に携わっています

関わり方は主に次の3パターンに分かれます。

パターン割合内容
承継型66.70%数年間は事務所に残り、引き継ぎ完了後に引退する
一生現役型21.20%無理のないペースで業務を続ける
引退型12.10%引き継ぎのみ行い、速やかに引退する

約9割の所長が譲渡後も何らかの形で業務に関わっており、自分のペースで働き方を選べる柔軟さがM&Aの大きな特徴です。

長年築いてきた顧問先との関係も段階的に引き継げるため、急な環境変化への不安を抑えられます。

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承継と引退の時期を分けて設計できる点は、所長にとって重要な安心材料です。

士業事務所のM&A事例集

士業事務所のM&A事例集

19人の所長と職員の本音に迫る


日本全国の士業事務所に取材を行い、全44ページにわたってM&Aの事例をご紹介しています。譲渡側・譲受側それぞれの「想い」や「葛藤」のほか、M&Aを成功に導くためのポイントがわかります。

将来を見据えて今から考えておきたいこと

税理士の平均年齢が高い業界では、納得のいく承継を実現するために、最低でも3年前からの準備が欠かせません。

着手するタイミングや、事務所の状況を「見える化」する取り組み次第で、承継時の条件は大きく変わります。

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ここでは、将来に向けて今から取り組めるポイントを解説します。

「何かあってから」では手遅れになる事業承継

事業承継の準備は、所長が元気なうちに始めなければ選択肢が狭まります

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ある事務所では、確定申告の繁忙期に所長が病気で倒れ、「業務が止まる」と緊急の相談が持ち込まれました。

所内に他の有資格者はおらず、子息も試験勉強の途中だったためです。

突発的な事態だけがリスクではありません。売上が少しずつ下がり始めた段階で対策を取らなければ、事務所の価値評価にも影響が出ます。

売上の見通しが立たない事務所は引き受け手にとってメリットが薄く、譲渡時の条件も不利になります。

リスク内容
突発的なリスク所長の病気や事故によって、事務所の業務が突然停止する可能性がある
価値低下リスク売上減少が進むほど、事務所の評価額が下がり、譲渡条件が不利になる
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所長が主導権を持てるうちに、承継の検討を始めておく必要があります。

3年〜5年前からの準備が「納得のいく承継」をつくる

承継の相談は「まだ早い」と感じた時期が、実際には動き出すべきタイミングです。

引き継ぎには3年程度の期間が必要とされており、相談開始は引退目標の3年半前が理想です。

統合先を探すマッチングの工程だけでも3〜6ヶ月を要するため、早めの着手が欠かせません。

ステップ目安期間
マッチング(統合先の選定)3〜6ヶ月
引き継ぎ(業務・顧問先の移行)約3年
合計(相談開始〜引退)約3年半

スケジュールの確保と並行して、事務所の「見える化」にも取り組んでおく必要があります。

業務フローの標準化や収益構造の整理ができていれば、譲渡時の事務所評価を高められます。

準備をすべて同時に進める必要はありません。

まずは情報収集から始め、選択肢を把握しておくだけでも、将来の判断に余裕が生まれます。

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余裕を持った準備が、職員と顧問先の安心にもつながります。

まずは事務所の現状を客観的に把握するところから

承継の判断を誤らないためには、まず自事務所の現状を正確に把握することが出発点です。

日々の業務に追われるうちに、所長の実感と事務所の実態は少しずつ離れていきます。変化は緩やかに進むため、数字で確認しなければ気づかないまま年月が過ぎてしまいます。

自事務所が成長期・安定期・衰退期のどの段階にあるかを知ることが、判断の土台です。

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まずは以下の指標を定期的に確認してみてください。

評価ポイント内容
売上の推移直近3〜5年の売上の増減傾向
顧問先数の変化新規獲得と解約のバランス
職員の年齢構成中堅・若手がどの程度在籍しているか

ただし、事務所の評価額や承継先の候補選定は、所長一人の判断では見落としが生じやすい領域です。

業界の実情に詳しい専門家の視点を加えることで、数字の裏にある経営上の強みや課題が明確になります。

士業事務所M&A支援協会では、現状分析から選択肢の提示まで一貫した支援を受けられます。

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相談したからといって、すぐに承継を決める必要はありませんので、まずはお気軽にご相談ください。

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24時間受付|まずはお気軽にご相談ください。

まとめ|税理士業界は平均年齢が高い

税理士の60代以上の割合は54.2%と過半数を超えており、高齢化は業界全体の構造的な課題です。

後継者不足も深刻化しており、約17,500事務所が有資格者を確保できない見通しとなっています。

事務所を守るための選択肢は複数ありますが、中でもM&A(第三者承継)は成長性・創業者利益の面で注目されている手法です。

  • 税理士の60代以上は54.2%で業界の過半数を超えている
  • 約17,500事務所が後継者を確保できない見通し
  • M&Aを含む事業承継は「3年前からの準備」が成功の鍵

平均年齢が高い業界だからこそ、3年後・5年後のために今から計画を立てることが大切です。

早めの情報収集と専門家への相談が、最良の選択肢を見つける第一歩になるでしょう。

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備えがあれば、承継は不安ではなく前向きな選択になります。

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