90%の金太郎飴と10%の個性で叶える統合「お相手の歴史を尊重したい」

2003年の法人化以降、20回のM&Aを繰り返し、関東エリアを中心に13カ所に支所を持つ東京さくら会計事務所。体系化された事業承継のカリキュラムと業務マニュアルで、職員全員が標準化された対応ができるようにしているという。代表税理士の横尾氏に話をうかがった。

――まずはこれまでのM&Aの経緯について教えてください。

社会は複雑さを増し、企業は半永久的に存続する一方で、私たち税理士事務所が個人経営のままで顧問先を支え続けることには、やがて限界が訪れる……。平成15年頃、そんなことを考え始めました。実際、知り合いの経営者の顧問税理士が突然亡くなってしまって、急遽仕事を引き受けた経験もあり、このままではいけないという漠然とした焦りを抱えるようになりました。そこでまずは事務所の法人化をしました。その後、知り合いから支所を譲り受けるような形で経営統合を一度行いました。信頼があったからこそ、手続きを進めるのに迷いはなかったんです。ですが、結果は思いがけないものでした。紹介されるはずだった20件の顧問先は、フタを開けてみればわずか2件。3年間、赤字を抱えて苦しむことになったのです。それからは仲介会社を使うようになりました。人の縁は大切です。ですが、制度の力とプロの知見がなければ、縁が逆に歪んでしまうこともある。今では13拠点を構えるに至り、試行錯誤を経て、私たちなりのM&Aの形を見出すことができたと感じています。

――M&Aを行う際、特に重視していることはありますか?

何よりも、お相手の事務所が歩んできた歴史を尊重することです。顧問先と築いてきた信頼、職員一人ひとりが積み重ねてきた日々。そのすべてを軽んじることなく引き継ぎたい。譲渡元の所長には希望があれば顧問として残っていただき、安心して次の世代に託していただけるよう配慮しています。実際、職員の離職も顧問先の離脱もほとんどありません。それが、積み重ねてきた信頼の証だと思っています。
あとは、やはり仲介会社の存在です。よく、会計ソフトの会社など、事務所に出入りしている人たちから紹介をいただくこともありますが、M&Aの専門知識を持っている人がいないと、交渉があいまいになってトラブルのもとになることがあります。やはり信頼できる専門家に頼む方が、結果的にも安心だと思います。

――事業承継のためのマニュアルが所内にあるとうかがっています。どんな内容なのでしょうか?

円滑な統合のためのカリキュラムです。契約後、最初に譲渡元の所長が全職員へ法人化の意図を説明し、次に私が直接説明にうかがいます。その後、すべての職員との個人面談を実施して不安を解消し、最後に全体会議で具体的な進行計画を共有します。また、顧問先情報を整理し、移行に必要な手続きや案内状の作成なども段階的に進めていきます。これらをA4のカリキュラムとA3サイズのマトリックスにまとめ、いつ誰が何をするべきかを明確化して、全員が同じ方向を向けるようにしています。資料は職員にも配布しているので、いつでも見返せるようになっています。

――現場ではどのような工夫をされていますか?

各拠点で業務の標準化を進めています。先ほどのカリキュラムとは別に50ページほどの業務マニュアルがあり、新たなメンバーもすぐに馴染める仕組みを構築しています。内容は所内の改善委員会が年1回見直して、時代に合わせたアップデートを続けています。ただ、100%仕組化されたものが正解というわけではないので、「90%の金太郎飴と10%の個性」をキーワードにし、全拠点で同じやり方を実現する一方、地域ごとの特性にも柔軟に対応しています。また、年2回の全体会議や交流会を通じて事務所の一体感を高める取り組みも大切にしています。この交流会では、職員同士がくじ引 きで席を決めて交流を深める仕組みで、新たなつながりを生む工夫もしています。あとは、各支所の所長が集まる「所長会」を定期的にオンラインで開催し、拠点ごとの垣根を超えた情報共有も行っています。こうした制度の整備により、法人全体として一体感のある組織運営が実現できています。

――今後の横尾先生の目標やビジョンをぜひ教えてください。

もう職員には伝えていますが、事務所はツートップの職員に引き継いでいく予定です。私はしばらく相談役として残り、私の業務を引き継いでくれる職員のフォローに回ります。あとは、税理士として40年間働いてきた経験を生かして、若い世代の応援のようなことができたらいいなと思い、計画しているところです。

――最後に、M&Aを検討している、悩まれている先生方へメッセージをお願いします。

M&Aを行うことで起こる変化に対する勇気が必要ですが、それが顧問先や職員の幸せにつながる一歩でもあります。M&Aという言葉はあまり印象がよくないという人もいるかもしれませんが、実際は大切な事務所と周囲の人々を守る手段です。信頼できるパートナーと共に進めることで、不安を安心に変え、事業を次世代につなげることができると思いますし、双方の理解と協力があれば、新たな可能性が広がるはずです。M&Aは単なる経営戦略ではなく、人生の大きな節目でもあります。自身と周囲の未来を大切にする一歩として、ぜひ前向きに考えていただければ嬉しいです。まずは信頼できる、頼れる相談相手を見つけてください。

東京さくら会計事務所
■創業:2003年
■従業員数:140名
■支所数:13か所
■承継経験回数:20回
■本社所在地
東京都中央区銀座7-16-7

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M&A成功のポイント

Point
  • 信頼できる仲介会社を使いトラブルを回避
  • 統合前の説明と個別面談で職員の不安を払拭
  • 手順をマニュアルにまとめM&A後の実務を標準化

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事業承継・M&Aをサポートいたします。

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